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奈良市では、史跡大安寺旧境内の発掘調査成果について、報道関係者向けに下記の日程で発表(説明)します。
平成30年11月7日(水曜日)午後2時~
史跡大安寺旧境内範囲確認発掘調査事業の発掘調査地(大安寺南門南側、東九条町1302-1他)
大安寺南大門の南側で、塔院北門の遺構を発見できました。
門は東西2本の柱からなる棟門で、築地塀の棟通りに取り付くとみられます。
門柱跡は東西双方とも南北約1.0m、東西約1.5mの平面形隅丸長方形を呈し、柱座だけでなく、扉の軸受けの穴や方立穴を設けた礎石(唐居敷)を使用した門であったとみられます。
東西1間の規模は大安寺南大門の柱間と同じ5.1m(17尺)であったと考えられます。
塔院北門の発見は、大安寺の伽藍を復元するにあたって、貴重な成果です。
大安寺では南大門と塔院の間に、平城京の条坊道路である六条大路が推定されていますが、境内を横断する道路の有無は長年議論されてきたところです。
これまでの2ヵ年度の調査では、いずれの調査でも南側溝と推定される溝を検出していましたが、六条大路南側溝であると断定できるまでには至りませんでした。
今回の調査で塔院北門が発見でき、その位置関係から、六条大路南側溝が特定できることになりました。
六条大路南側溝の北側で、幅約3.5mの溝を確認しました。
この溝は平成28年度調査区でも確認されていますが、今回の調査区では、この溝に架かっていた橋の橋脚跡が確認できました。
橋は東西・南北とも1間規模で、礎石建ちとみられます。
南側の橋脚跡は六条大路南側溝内に位置し、南側溝埋没後に掘削されたものとみられます。
南大門は寛仁元年(1017)に焼失し、しばらく後の13世紀半ば頃に再建が始まったことが判明しています。
この中世の南大門再建とその周辺整備の際に、溝が掘られ、架橋されたものとも考えられます。
昨年に引き続き実施した発掘調査体験では、昨年度を上回る延べ363名の参加がありました。
今年度も六条大路南側溝の掘削を行う等、参加者が大きな役割を果たしています。
また現地説明会を実施することで調査の全容を確認できる機会を設けます。
発掘調査の成果を市民の皆様に見ていただくため、平成30年11月10日(土曜日)の午前10時から午後3時に現地説明会を開催します。
教育総務部 文化財課 埋蔵文化財調査センター
電話番号:0742-33-1821