~「歩く楽しみ」が生まれる、居心地の良い駅前広場に変わります~
令和4年3月から整備を進めている近鉄大和西大寺駅北口駅前広場が、来年3月にいよいよ完成を迎えます。隣接する「交差点付近および西大寺一条線」に関しても、駅前広場の供用にあわせて整備を予定していましたが、本年7月に発生した銃撃事件の現場となる中で、今後どのように整備を進めていくべきかが、新たな課題となっていました。この度、「安全を確保しつつ、訪れた人が居心地よく歩きたくなる街、心からくつろぎ安らげる街」を創ることを最優先とする形で、整備の方向性を最終決定しました。
最終決定案(パースは現時点でのイメージであり、変更になる場合があります。
1. 検討案について
最終決定に至るまでに3つの案を作成し、検討を行いました。
また、このイメージパースを各分野の皆様にも共有し、ご意見を伺いました。
検討案(1)
銃撃事件の現場(演壇)が車道となるのを避けるため、西大寺一条線に交通島(車線中央・三角洲の緑地帯)を設置した場合
検討案(2)
銃撃現場を歩道として整備し、跡地に慰霊碑等を設置した場合
検討案(3)採用案
事件現場は当初通り車道として整備し、周辺にも慰霊碑等は設置しない場合。事件現場横の歩道は、居心地よく歩きたくなる空間へと整備
2. 各分野の意見
方針を決定するにあたり、各分野の方々からご意見を伺いました。
※各分野の意見として、聞き取った内容については、市の判断により内容を一部編集して掲載しています。
地域自治体等諸団体
- 賛否両論あると思うが、車両や歩行者通行の妨げにならない場所に何か残せたら
- 奈良市住民として大変ショックを受けている。事件現場は車道になるのは当然だと思う
- 次に進むためにも賑やかにして過ごせるように整備することが、弔いになるのではないか
警察・防犯関係
- 大きなモニュメントや目印が交差点内にあると、横断歩行者を見落とし事故が発生しやすくなる
- 特別なことはしないで、全体的にシンプルに交差点周辺を整備したほうがよい
- 現場に何かを設置するといたずら等があると思われるので、これらの観点からモニュメント等は設置されない方がよい
- 道路上に設置するのは安全上よくないが、防犯の観点からは、事件があったことを残し防犯意識を高めることが重要
有識者
- どの案にせよ批判は出る。銘板の案でもやりすぎ。毎日現場を通る地域の人はしんどいだろう。当初の案通り、何もせずに植栽帯を設ける程度に留めたほうが良い
- 何かつくるにしても後からでもできる。もっと後世に検討すればよい
- 街づくり全体を考えて、管理を含めて継続できるかを考えたほうがよい
- まちづくりとして広い歩道を利用してイベントスペース等として活用し、キッチンカーやカフェ、西大寺等の文化財イベント開催など、賑わいを創設するスペースに利用できるよう整備するのがよい
- 事件としては永久に記録されるものなので、歩道内に目印的なもの(それを訪ねてきた者が探せば見つかる程度)の設置は必要と思うが、車道内には安全上設けるべきではない
教育関係
- 安倍さんがかわいそうやから残したらという意見や、あの事件を思い出すと怖くて歩けないという声もあった
- そこに住んでいる人、これから生きていく子供たちがやすらぎ、集える場所になるようにしてほしい
- モニュメントは必要ない。コンパクトな交差点にしてほしい
- 現場箇所の植栽や花壇等については、安全面もあるので、高さのあるものはやめてほしい
- 緑などがあり、人が集える場所があるといいと思う
- モニュメントは必要ない。西大寺が今回のことで有名になってしまったことを、あえて後世に残していく必要がない
福祉施設関係
- 市民にとっては思い出したくないのではないか。目立つようなモニュメントの類は一切立てないでほしい
- 事件があったことを思い出したくないので、現場にお金をかけて何か建てる必要はない
- 教育施設等、求められるところへ予算をかけていくべきではないか
- 事件のことで有名になるような、シンボル的なものを建てるのは望ましくない
- 事件を思い出すようなものは建てない方がいい
- にぎわいを創出できるような進め方をしてほしい
周辺施設関係
- イメージを変えるためにも、綺麗につくって人が集まるようにしてほしい
- 現場にモニュメント等を残せば、まるでお墓のようである
- 新しいイメージで、明るいものにやりかえるほうが良い
- 小さな石碑は現場近くにあってもいいのではないか
- 奈良市住民にとっては現場に何か残すのは必要ないと思う
- 通行する歩行者や車両等の安全が十分に担保されるのが最優先
- モニュメント等を設置して、それが原因で事故でも起きようものなら元も子もない
- モニュメント等は必要ない。新しい、違うイメージで整備する方がいい
駅前広場整備事業協力者
- 事件のことは早く忘れた方がいい
- 住んでいる人からすれば何もない方がいい。
- 何も作らずにまちづくりという視点で整備される方が良い
3. 最終決定案(検討案(3))について
選定理由
事件現場は当初より車道として設計されていました。現場に目印や構造物等の設置をすることは交通安全上、支障が生じるため、当初設計通り「車道」として整備することで、整備事業の目的である「渋滞等混雑の緩和や、通行する歩行者の安全性の確保」を果たします。
また、寄せられた大半の意見から、構造物の設置よりも、まちづくりの視点を盛り込んだ整備を行うことが何よりも優先される、と判断しました。
今回奈良市としては、「構造物で弔意を示すことはしない」という判断に至りました。その代わり、事件現場を明るく整備し、人が笑顔で行き交う憩いの場所にしていくことで、市民の安全と平和を希求する気持ちを象徴する場になれば、と考えています。
最終決定案(検討案(3))
当初計画通り現場は車道とし、周辺を歩行者優先の空間として整備
- 南北に走る市道西大寺一条線。当初計画通り2車線の車道として十分な車幅を確保し整備
- サンワシティ西大寺前は、歩道を十分に確保し整備
現在のサンワシティ西大寺前
メインコンセプトは「くつろぎと安らぎの空間」
南北自由通路から駅前広場への空間については、開放的で一体的に明るいイメージをコンセプトに整備を進めます。一日の乗降者数が約4万人にもなる近鉄大和西大寺駅は、奈良市民のみならず、さまざまな地域の方が訪れるターミナル駅です。あらゆる人々がくつろぎ、安らぎを得ることができ、賑わいのある「人(ひと)中心」の駅前空間を目指して整備を進め、これまで以上に「住みたくなる街・訪れたくなる街」にしていきます。
事件現場は当初計画通り車道として整備し、「安全性を最優先」
事件が発生した位置については、通行車両や歩行者等の安全性の確保が最優先であるため、当初計画通り車道として整備します。またその周辺についても、事件に関連した石碑や銘板等を設置することはせず、あくまでも訪れる方々の癒し、安らぎを最優先にした空間デザインとします。
4. 今後のスケジュール
近鉄大和西大寺駅北口駅前広場については、令和5年3月に整備が完了します。「西大寺一条線」については今年度、部分的に整備を行い、全体整備は来年度以降を予定しています(令和4年度での補正予算はなし。既存の予算内で執行)。様々な人が訪れ、にぎわいが生まれる空間に整備できるよう検討していきます。
関連リンク
近鉄大和西大寺駅北口駅前広場整備の概要については以下のリンク参照
令和3年3月25日 市長定例記者会見
近鉄大和西大寺駅南口駅前広場の供用開始・北口駅前広場前道路も広がります
イメージパースの画像の使用について
イメージパースの画像を使用される場合は、パース左上の文言(採用案、検討案(1)廃案 等)はそのまま残した状態で、画像の加工はせずにご使用をお願いします。
報道資料
【リリース資料】近鉄大和西大寺駅北口駅前広場 交差点付近・西大寺一条線を新たに整備 [PDFファイル/1.4MB]
本件に関するお問い合わせ先
都市整備部 西大寺駅周辺整備事務所
TEL:0742-43-6388