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本日、この場をおかりいたしまして、3期目の市長就任に当たりましての決意と所信を述べさせていただきます。
私は、平成21年に初めて市長に就任をさせていただいて以来、2期8年間にわたりまして、市民の皆様や職員の皆様のご理解、ご協力のもと、さまざまな市政課題と向き合ってまいりました。
目まぐるしく変化する時代や社会の中で、日々の市民生活で生まれる暮らしの課題もあれば、歴代市長が長年頭を悩ませてきた問題もございます。
時には目の前に立ちはだかる壁の大きさに愕然とすることもありましたが、市長という立場を超え、一市民としてどう考えるのかという視点を常に大切にし、課題を決して先送りすることなく、一つ一つ着実に乗り越えていくことをみずからの政治信条として取り組んできたところでございます。
その中におきまして、土地開発公社の解散やごみ収集業務の民間委託、また火葬場の建設に向けた取り組みなど、本市が長年抱えてきた諸課題の解決に、微力ではありますが一歩を踏み出すことができたのは、思いを同じくする多くの方々のお力添えがあってこそのものだと改めて感謝を申し上げる次第でございます。
そして、この市政改革の流れを決して逆行させることなく、より力強く前進させることが私に課せられた大きな使命であると、今回の選挙を通しても痛感をした次第でもございます。
一方、過日、ある民放の番組内におきまして本市職員の服務にかかわる報道がなされ、それに対する私のコメントが波紋を呼ぶこととなりました。
限られた放送時間の中で十分に真意が伝わらないもどかしさを感じる部分もあり、残念な思いもございますが、市民の皆様や職員に対し、いささかでも市政改革が後退をする可能性を印象づけたのであれば、私の本意とするところではなく、言葉足らずであったことをおわび申し上げたいと思います。
なお、今回の事案につきましては、通常の不祥事とは若干異なり、外見だけでは一概に健康か否かが判断できない部分もございますことから、引き続き慎重に調査を行い、当然のことながら、明らかな問題があれば厳正に対処してまいりたいと考えているところでございます。
私に課せられた最大かつ最重要の使命は、まさに市民の当たり前の感覚を市政運営の中心に据え、組織風土の改革を初め、これまで取り組んでまいりました市政改革をさらに加速させることであり、それが市民の皆様の信頼を得る唯一の方法だと認識をいたしております。
今後も引き続き、今まで以上に誠心誠意努力を積み重ね、市民の皆様や職員、そして議会の皆様とともに、より暮らしやすい奈良市、希望に満ちた奈良市を実現してまいりたいと考えておりますので、議会の皆様方の引き続きのご指導、ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
さて、これからの4年間で、私が掲げ、市民の皆様とともに具体的に実行していきたいと考えております政策といたしましては、5つのテーマがございます。
まず1つ目は、もっとオープンでコンパクトな自治体へでございます。
本市におきましても、これまでオープンでコンパクトな自治体という姿を目指し、さまざまな取り組みを続けてきたところでございます。
先ほど申し上げました土地開発公社の解散や家庭ごみの収集業務の民間委託などに加え、その他の分野におきましても、民間でできることは民間へという考えを基本路線と位置づけ、限られた財源をより有効に活用するため、順次、民間活用も進めているところでございます。
また、職員数につきましても、ピーク時からは既に1,000名以上削減をし、手当なども大幅な見直しを行うことにより、人件費総額の抑制に努めてきたところでございます。
さらに、市債の発行につきましても、市民の暮らしに影響のない範囲で厳しく精査をし、交付税措置のある市債を活用しながら抑制に取り組んでまいりました。
臨時財政対策債を除く実質的な市債等の債務残高を、平成21年度と平成29年度予算比で見ますと約346億円圧縮となり、財政規模に対する負債の割合である将来負担比率につきましても、平成21年度と比較をし、平成28年度では47.8ポイント改善しております。
あわせて、市税徴収率の向上に努めるとともに、透明で信頼される行政、最少のコストで最大の市民サービスを生み出す自治体経営を目指してまいりました。
今後も、これらの取り組みを継続し、財政健全化をさらに加速させていかなければと意を強くいたしております。
特に、将来世代への負担とならないよう、市債残高の縮減、そして将来負担比率の低減には特に力を入れて取り組みを進めてまいりたいと考えております。
また、出張所の改革につきましても力を入れてまいりたいと考えております。
市役所の窓口業務は、市民の皆様にとって身近な存在であり、日々多くの方々がさまざまな用件でお越しになります。
そのため、本年5月からは西部出張所、北部出張所での業務を一部拡大し、利便性の向上に努めてきたところでございますが、依然として本庁でしか取り扱うことができない業務も存在いたしますため、今後も駅前に立地をする西部・北部出張所やならファミリー内の市民サービスセンターの機能の拡充、また住民票などのコンビニ交付の導入や申請書などの簡素化で待ち時間の短縮を図り、本庁に来なくても大半の手続ができるような出張所を目指してまいりたいと考えております。
次に、人材育成についてでございます。
人口の減少が進む中で、各地で地方創生の取り組みが進められており、これからの自治体行政は、決められたことをルールどおりにこなすだけではなく、みずから意思を持って自己変革をしていくということが大切でございます。
そのためにも、職員一人一人がみずから考え、責任を持って行動、変革を進める組織を目指してまいりたいと考えております。
これまでの2期8年間におきましては、改革のスピードを上げるためにトップダウンで大なたを振るうこともございましたけれども、次の4年間では、職員みずからが自己変革をする内側からの市政改革を目指してまいりたいと考えております。
2つ目の大きなテーマといたしましては、子育て教育環境の充実で、未来の世代への先行投資というテーマでございます。
本市におきましては、0歳から19歳の人口は、平成21年4月の6万5840名から平成29年4月には5万9905人と5,935名減少している状況であります。
ただ、総務省の調査によりますと、平成28年の転入超過数は全体としてはマイナスですが、一方で0歳から19歳においては279名の転入超過となっており、他都市からの子育て層の転入が顕著となっている状況にございます。
さらに、本市の有効求人倍率では、平成23年度の0.64倍から平成28年度には1.34倍と確実に伸びており、国勢調査によりますと、25歳から39歳の結婚している女性の就業率も、平成17年の39.4%から平成27年の54.2%と14.8ポイントも上昇し、この伸び率は国の数値を上回っているところでもございます。
本市におきましても、女性の就業・起業支援に関しましては、昨年4月に女性キャリア支援係を設置し、国の地方創生交付金を活用しながら取り組みを始めたところでございます。
このような状況の中で、働く保護者や子育てに奮闘されている保護者を応援するために、奈良の未来を担う子供を育てるため、全国から選ばれるまちとなるべく、特に次の施策に力を入れて取り組んでまいります。
その1つは、まず、喫緊の課題でもあります待機児童の解消でございます。
本年4月現在の保育施設の定員は6,418名であり、平成21年と比べますと593名の定員増となったわけでございますが、依然として待機児童の完全解消には至っていない現状がございます。
国におきましても、子育て安心プランを発表し、遅くとも平成32年度末までには全国の待機児童を解消すると述べられておりますが、本市といたしましては、さらにスピード感を持って解消してまいりたいと考えております。
そのことから、保育士の確保に加え、保育補助者の活用や、さらには新設園の開設など、緊急的な待機児童対策を講じることにより、2年以内の待機児童ゼロを目指してまいりたいと考えております。
また、バンビーホームなどにつきましても、働く保護者の支援という観点から、本市では他市に先駆けて施設の整備に力を入れてきたところでございますが、今後は、特に利用がふえる夏休みなどの長期休業中に子供たちに昼食を提供することなども含めて、保護者の負担を引き続き軽減させてまいりたいと考えております。
また、子供が病気になったときの預かる施設であります病児保育につきましても、さらに充実を図ってまいりたいと考えております。
現在は、市内で2カ所の病児保育施設が既に開設をされておりますが、働く保護者の増加、また子育て環境の充実、そして保護者の負担の軽減など、さまざまな観点からも、今後もさらにこの施設の整備を加速させ、働く保護者の悩みをサポートしてまいりたいと考えております。
次に、休日夜間応急診療所でございますが、小児人口が年々落ちている中におきまして、診療所の小児患者の数はこの10年で1.5倍に増加をしているということもあり、本年7月からは小児科専門医を週6日配置しているところでございますが、今後、全日の配置に向けまして、さらに医師会などとも連携を図り、早期の実現を目指してまいりたいと考えております。
また、子育て教育環境の中では、これまで学校・園の施設の整備につきましては、耐震化対策を最優先として取り組んできたところでございますが、この耐震化事業がほぼ完了いたしましたことから、今後は長寿命化の計画としてトイレの洋式化なども含めて、しっかりとした対応を継続して行ってまいりたいと考えております。
特に、人口急増期に建設された学校などが一斉に更新期を迎えるという状況でもございますので、単に建てかえを行うということだけではなくて、コストを抑えて安全性や機能面の改善を図ることで、子供たちの教育環境の充実につなげてまいりたいと考えております。
次に、児童虐待の防止についてでございます。
本市におきましては、これまでも児童虐待の未然防止、早期発見にさまざまな取り組みを進めてきたところでありますが、全国で12万件、本市でも年間800件を超える児童虐待の通告相談件数に上っているという現下の状況を踏まえまして、今後、国の法改正に伴い、中核市である本市といたしましても、児童相談所の設置に向け、県や関係機関とも協議を進め、早期にしっかりとした体制を構築し、子供と保護者の支援にさらに力を入れてまいりたいと考えております。
3つ目のテーマといたしましては、医療・介護・福祉の連携による、きめ細やかな福祉の実現でございます。
まず、地域包括ケアについてでございますが、第4次総合計画後期基本計画における将来人口の見通しは、平成32年には本市の高齢化率が31%まで上昇し、これが42年には35%まで到達をする見通しとなっております。
中でも、65歳から74歳の人口は減少に転じる一方で、75歳以上の人口は増加を続け、平成32年には75歳以上の人口が、65歳から74歳までの人口を上回るという逆転現象が予測されております。
今後迎える超高齢化社会に向けまして、地域で支え合う仕組みづくりや介護の予防などの体制を強化するためには、地域包括ケアの仕組みをより充実し、そして地域にそのネットワークを広げていくことが大切だと考えております。
今後、さらに全国の先進例も踏まえながら、高齢者の方々が最期まで住みなれた地域で安心してお過ごしいただける体制をつくり上げてまいりたいと考えております。
次に、災害時の対応でございますけれども、これまで整備をしてまいりました本市の災害対策につきまして、より実効性のある体制とするために、一次避難所の機能の充実にさらに力を入れていきたいと考えております。
最近では、地域の自主防災・防犯会などのお力添えによりまして、避難所を開設し、みずから運営をするという、より実地型の訓練なども行われるようになってまいりましたが、実際に避難生活などを想定した際に必要となってまいります古くなったトイレの改修や、情報収集手段としてのWi-Fi整備などのハード整備に加え、備蓄物資の充実など、その機能をより高めるための取り組みに力を入れてまいりたいと考えております。
また、本市におきましては、昨年度、子どもの生活に関するアンケートという調査を行わせていただきましたが、全国同様に子供の貧困という問題が本市でも確認をされている状況にございます。
特に、社会の構造が変化し、地域の中でのお互いの生活や課題や悩みが共有しにくい今の社会環境の中において、子供たちがしっかりとみずからの希望が実現できる社会をつくっていく、そして貧困の連鎖を断ち切るという大きな社会的な目的のもとにおきまして、この子供の貧困対策という問題についても、本市としてやはり力を入れていかなければならない課題だと認識をいたしております。
障がい者の方々の高齢化の問題、また今申し上げました子供の貧困対策などは、従来の行政の福祉では対応し切れていない分野でもございますので、しっかりとした組織体制もあわせまして、対応に力を入れてまいりたいと考えているところでございます。
さて、健康寿命を延ばすというテーマが昨今ではマスコミなどでもよく報じられるわけでございますが、本市におきましても本格的な超高齢化時代を迎える中で、いかにお元気で最期まで地域でお過ごしをいただくかということが大きな社会課題となってございます。
その中におきましては、保健所を設置している中核市といたしまして、やはり市民の皆様の中でも特に高齢者の方々の健康づくりに力を入れてまいりたいと考えております。
既に本市におきましては、国民健康保険や後期高齢者の医療保険のレセプトデータなどの分析を行っており、地域の実情に沿った個別対応型の医療政策、そして健康寿命を延ばすためのさまざまな対策に、今後も引き続き力を入れてまいりたいと考えております。
また、高齢化問題と並び、市民の皆様の関心の非常に高い問題の一つといたしまして、やはり新斎苑の建設の問題がございます。
現在の新斎苑の建設計画につきましては、これまでもさまざまな議論がなされてきたところでございますが、現計画地が地権者のご協力も得ており、安全性についても、さまざまなご指摘をいただいた観点について、市としてのさまざまな調査や対策を講じましたことによって、安全性についても確認ができたものと認識をいたしております。
今後も引き続いて、地域の皆様、地元の皆様と信頼関係を築き、市民100年の悲願でもございます新斎苑の早期の実現に向けては、やはり限られた時間の中で着実に成果を出すということが求められていると強く認識いたしております。
本事業につきましては、何よりも地元の皆様方、そして議会の皆様のご理解とご協力を得ることが何よりも重要だと考えておりますので、引き続きのご議論を賜りますようよろしくお願いを申し上げます。
さて、もう一つの大きなテーマといたしまして、市役所本庁舎の耐震化問題がございます。
既に調査結果などが出ているところでございますが、市といたしましては、昭和52年に竣工いたしましたこの現庁舎の耐震性能の不足が確認されるなど、耐震化の整備が緊急の課題であると認識をいたしております。
これまでは、子供たちの通う学校・園の施設の耐震化を優先するという方針で進めてきたところであり、本庁舎につきましては、いわば後回しという状況で進んできたわけでございますが、昨今の全国で発災しているさまざまな大規模災害を見ますと、やはり市民生活を守る拠点である本庁舎をしっかりと耐震性を確保するということは、ひいては市民の暮らしを守ることに直結する大きな課題であると認識いたしております。
この本庁舎の耐震化につきましては、県の進める大宮通り周辺まちづくりの方向性とも整合性を図りながら、耐震改修を基本として早期に対策を取りまとめ、整備を進めてまいりたいと考えております。
そして、これからの市政を進めていく中におきまして、もう一つの大きな柱は、県・市の連携でございます。
今申し上げました、この市役所周辺の大宮通りのこれからのまちづくりという問題でも、やはり県・市、場合によっては国も含めてのそれぞれの行政がしっかりとビジョンを共有して、お互いが持てる力を寄せ合うという連携体制をいかに築いていくかということが重要だと感じております。
本市は、中核市としてさまざまな権限が既に県から移譲されているところであり、幅広い分野で独自の取り組みができる自治体でございますが、一方で県・市が同じ方向を向き、連携をすることにより、より大きな仕事にスピード感を持って取り組むことが可能となってまいります。
市独自では、これまでなかなか解決ができなかったさまざまな課題、また、より魅力的な都市創造を図るためにも、今後も引き続き奈良県との連携体制を強化してまいりたいと考えております。
その中におきましては、大和西大寺駅周辺におきまして、昨今もさまざまな議論がなされておりますが、やはり市の玄関口の一つとして今取り組んでおります区画整理事業、そして駅の南北の自由通路の整備、そしてさらには中長期的な視点による、開かずの踏切の根本解決としての西大寺駅の駅舎をどのようにしていくかという課題、いずれも大変大きなプロジェクトでございます。
やはり、市が県としっかりと連携し、民間の鉄道事業者とも足並みをそろえて、今後の、将来の奈良市の玄関口をどのように整備していくかというこの大きな積年の課題を解決してまいりたいと考えております。
また、奈良市内におきましては、現在、八条・大安寺地区におきまして、大和北道路の奈良インターチェンジ、またJR関西本線の高架化とJR新駅の整備も計画をされているところでございます。
市内に新駅ができるという非常に歴史的なこの取り組みに対しまして、地域の皆様ともしっかりと協議を進めさせていただきながら、これからの奈良市の成長戦略に資するこの開発としていくために、しっかりと県とも連携を図ってまいりたいと考えているところでございます。
また合せまして、リニア中央新幹線につきましても、昭和48年から、本市におきましては約半世紀近くにわたりまして奈良市内への中間駅誘致を提言して、活動を展開してきたところでございます。
既に、東京-名古屋間が着工され、名古屋以西へのルートについても近々正式に決められていくというこのタイミングに合わせて、県下最大の鉄道需要があり、そして年間1500万人を超える入り込み観光客をお迎えする県都として、しっかりとした都市基盤の一つとしても、やはりリニアの中間駅を市内に設置するということは必要不可欠だと考えており、今後も引き続き官民一体となった誘致活動を展開してまいりたいと考えております。
次に、クリーンセンターの問題についてでございますが、クリーンセンターの問題は、市民生活に一日たりとも欠かすことのできない大変重要な施設であり、市民の皆様の関心も非常に高い課題でございます。
しかしながら、これまで取り組んでまいりました中ノ川町、東鳴川町地内におけます移転建設の取り組みにつきましては、周辺の住民の皆様のご理解を得ることが難しく、今後、進展が見込めないこともあり、現実的な方策を早期に決定していく必要があろうと考えております。
当然のことながら、公害調停締結の経緯や現環境清美工場の老朽化の状況なども踏まえて、この当該地域の住民の皆様だけではなく、この問題を広く市民の皆様全体にしっかりとお知りおきをいただき、市民の皆様のご意見も伺いながら、広域化や現地建てかえも含めて、あらゆる手法でこのクリーンセンター問題の解決を加速させてまいりたいと考えております。
最後に、奈良市の成長戦略でございます。
先ほども触れましたように、本市におきましては、今、入り込み観光客数が右肩上がりという状況にあり、特に海外からの外国人観光客につきましては5年間で9倍となるなど、まさに国際観光都市としての力を日々つけている状況だと認識いたしております。
また、先日は、唐招提寺さんにおきまして長屋王が中国の唐の都に送られたけさの話題がニュースとなっておりましたが、まさに1,300年前にシルクロードを通じ、世界に門戸を開き、さまざまな多様な文化、文明を柔軟に受け入れ、日本の国の礎をなしたこの先人たちのDNAというものは、まさに現代まで脈々と受け継がれており、今を生きる私たち、奈良に暮らす住民の責務としても、先人たちが守り、築いてきた文化を継承し、そして奈良の持つ力をしっかりと掘り起こし、未来に向けて大きな一歩を、歩みを進めていくということが重要だと私は考えております。
特に、3年後に迫りました東京オリンピック・パラリンピックにつきましては、東京だけで終わらせるということではなく、日本全国、特に奈良市が大きな存在感を発揮して、世界の中にこの奈良というまちがあるというその存在感を世界にしっかりと発信していくことが、奈良の成長戦略にとっても大変重要だと考えております。
そして、奈良市のこれからの成長戦略の中では、観光の形態を変えていくということが私は重要だと思っております。
たくさんのお客様に奈良にお越しをいただきたいという思いは当然ございますけれども、やはり観光産業によって奈良市内で着実に雇用が生まれ、そして税収につながり、まちの活力となっていかなければ、やはりこれからの中長期の奈良の基幹産業として観光は語れないと私は考えております。
既に奈良市内におきましては、今、目下、ホテルの建設ラッシュが続いており、この数年間で複数の宿泊施設が整備をされてきたところでもございます。
また、有名な世界遺産だけを短時間で回るという通過型の観光から、より滞在時間が長い滞在型の観光へと形を変えていくことが、奈良市内のさまざまな関連産業を潤し、奈良が成長していくためには不可欠だと考えております。
こういった視点に立ちまして、これまでも、そしてこれからも、奈良の真の基幹産業としての観光産業をより充実させ、民間の事業者の方々と連携を図りながら、奈良で仕事につける、奈良から出ていかなくても、奈良の中で就業ができ、そして生活を営むことができるという状況を現実的につくり出してまいりたいと考えております。
私たちの暮らすこの奈良の持つ潜在的な力をしっかりと引き出し、そして今を生きる私たちの力と変え、未来に向けて自信を持って大きな一歩を歩み出していく、これこそが私は奈良の成長戦略にほかならないと考えております。
また、あわせまして、昨今、大変大きな話題となっております国際情勢でございますけれども、やはり奈良のまちは、平和都市宣言をしていることもあり、世界のさまざまな異なる文化の方々の仲介役となり、世界の平和にも貢献をしていくことは大変重要な責任があると考えております。
特に中国、韓国などシルクロードを初め、大陸との窓口でありました奈良が果たすべき役割は非常に大きいと私自身感じております。
ぜひとも、多くの皆様方とも力を合わせて、今の世界のこの困難な局面をぜひとも乗り越えてまいりたいということもあわせて申し述べさせていただきます。
最後に、地域づくりについてでございます。
本市におきましても、それぞれの地域ごとに自治会組織、またさまざまな住民の皆様による自主的な地域自治の取り組みが非常に盛んに展開をいただいているところでございます。
人口の減少や高齢化の進展など、さまざまな地域の中での課題が日々生まれつつある今の状況において、行政だけでは対応ができない分野も非常に多くなってきているわけでございます。
そんな中におきまして、地域の担い手であります住民自治組織、地域の皆様による地域自治協議会の取り組みを市としてもさらに力を入れ、地域コミュニティーの再生と、そして活性化を図っていくことが本市のこれからのまちづくりにおいて大変重要だと考えております
高齢化が進むということは、あわせて地域の担い手が高齢化をするということにもほかなりません。
それぞれの分野で活動されている地域のさまざまな団体が1つのプラットホームを構築し、行政とも密接に連携を図りながら、自分たちの地域の未来を自分たち自身でしっかりと選び取っていく、そして自ら行動していく、その取り組みを行政としてもしっかりと支えていくことが重要だと考えております。
以上、3期目に当たりましての決意と所信を述べさせていただいた次第でございます。