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昨年末に東京・代官山で、古都奈良の文化財の世界遺産登録15周年を記念したイベントを開催しました。ゲストに東大寺別当の筒井寛昭さんと染織史家の吉岡幸雄さんをお迎えし、私と3名で「日本のルーツ」としての奈良の役割や可能性について語りました。
吉岡さんは京都で代々続く染色家で、植物染めによる日本の伝統色の再現に力を入れておられます。奈良との縁の一つとして、遣唐使が持ち帰った、紅花染めで欠かせない月ヶ瀬の烏うばい梅のお話や、1200年以上途絶えることなく今日に続く二月堂・修二会(お水取り)の儀式と紅花染めの関係についても紹介されました。
筒井寛昭さんからは、(大仏を造られた)聖武天皇は仏教を広めようとしたのではなく、仏教を通して民衆を幸せにしたいと願っておられたと伺いました。
日中韓の外交が冷え込む中で、奈良が1300年前から世界とつながり、文化の多様性によって日本のルーツとなっていることに誇りを感じます。