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明治期の建築家に辰野金吾博士という人がいます。佐賀県唐津市の出身で、現在の東京大学工学部の一期生として入学。イギリスで最新の建築技術を学んだ後、東京駅や日本銀行本店を設計した辰野博士の作品は現在も各地に残されています。
その一つが佐賀県武雄市にある武雄温泉の楼門。武雄は奈良時代の肥前国風土記にも記された歴史ある街ですが、この楼門は大正4年に完成し、1300年前から人々を癒し続けてきた名湯のシンボルとして今も多くの観光客に親しまれています。
一方、奈良市にも辰野建築である奈良ホテル本館が現存しています。桃山御殿風の同館は明治42年に建てられ、古都奈良にふさわしいクラシックな優雅さを漂わせています。
先日、その縁に着目された武雄市の樋渡市長から提案があり、両市で建築をテーマにした観光交流・誘客連携を図ることになりました。奈良観光といえば世界遺産などの社寺はもちろんのこと、最近は奈良町をはじめとした近世以降の町並みや建築物にも注目が集まっています。
奈良市では今回の連携をきっかけに新たな観光資源の発掘や商品化、他市との連携を積極的に進めていきたいと考えています。