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今月の特集はサマルカンドでしたが、スペインの古都トレドも奈良市の姉妹都市です。今回、提携50周年を記念して議会とともに表敬訪問するにあたり、改めてトレド市の歴史をひもといてみると、非常に興味深い事実が明らかになりました。それは異なる宗教や異なる民族が共生する都市思想です。 トレドは歴史的にキリスト教とイスラム教が奪還を繰り返した街として知られていますが、特に1085年にキリスト教がこの地を治めるようになった際に、当時のアルフォンソ6世が他の宗教徒に対して信仰や財産所有の自由を保障し、とどまるも自由・出ていくも自由と、非常に寛容な施政を行ったと言われています。例えばユダヤ教徒に対しても宮廷の要職を与える等、宗教や人種を問わず能力主義で人材を登用したことで、当時最先端の学問であった翻訳や天文学をリードすることができました。 ともすれば排他的な風潮が存在感を現す現代の私たちにとっても、大いに学びに溢れた都市と言えるでしょう。