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平成24年度の予算編成にあたっては、市職員全員が本市を取り巻く極めて厳しい現状を改めて認識した上で、次に掲げる基本方針に沿って取り組むものとする。
本年6月に議決された同計画は、平成24年度に2ヵ年目を迎えることとなり、基本構想に掲げる都市の将来像「市民が育む世界の古都奈良~豊かな自然と活力あふれるまち~」の実現を目指し、まちづくりの基本方向に沿って基本計画に基づく各種の施策の推進を図る。
第4次総合計画の財政見通しにおいて、平成24年度から27年度の収支不足額を111億円と試算し、平成24年度は約15億円の財源不足が見込まれる。このため、新年度予算編成では扶助費の自然増分の財源を確保しながらも、その他の義務的経費等を除いた事業費については、前年度当初予算額の90%を上限とする。
収支不足を解消するため、全施策を事業費だけでなく人員も含めたフルコストの視点から徹底的に点検し、慣例や従来の発想にとらわれることなく制度改正や廃止も含めた抜本的な経費見直しを実施する。
新規の施策の立案や既存施策を拡大する場合は、別施策の廃止や歳出削減による財源捻出、歳入面での新規の補助金等の獲得による財源確保を原則として予算を構築する。
各部において、部長のリーダーシップのもと各施策を精査し、限られた財源を有効に活用するため、施策の選択と集中による最少の経費で最大の効果をあげる事業展開を図る。
上記方針に基づき予算編成に取り組むとともに、既存経費の徹底した見直しと併せ職員人件費のさらなる削減及び外郭団体の統廃合等行財政改革も積極的に推進したところであり、本市の持続的な発展を確かなものとするため「少子化対策」、「環境」、「観光」に重点的に配分した。厳しい財政状況の中、なお生じた収支不足に対処するため、退職手当債、行政改革推進債等を活用することとし、さらに公債費の見直しや財政調整基金等の取崩し等による収支の均衡を図り、一般会計において対前年度比0.5%の減、1,235億50百万円とした。
予算規模(単位:千円)
区分 | 24年度予算額 | 23年度予算額 | 対前年度増減額 | 対前年度伸率 |
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一般会計 | 123,550,000千円 | 124,175,200千円 | △625,200千円 | △0.5% |
特別会計 | 78,082,500千円 | 74,307,000千円 | 3,775,500千円 | 5.1% |
公営企業会計 | 17,309,300千円 | 23,191,100千円 | △5,881,800千円 | △25.4% |
合計 | 218,941,800千円 | 221,673,300千円 | △2,731,500千円 | △1.2% |
(参考) | ||||
国の予算(一般) |
90兆3,339億円 | 92兆4,116億円 | △2兆777億円 | △2.2% |
地方財政計画 | 81兆8,647億円 | 82兆5,054億円 | △6,407億円 | △0.8% |
個人市民税は、年少扶養控除の廃止等により6億95百万円の増、法人市民税は円高等の影響による企業収益の低迷が見込まれ、1億35百万円の減となる。また、地価の下落や家屋の評価替により、固定資産税は6億43百万円、都市計画税は1億28百万円の減となり、市税全体では、前年度に比して2億80百万円の減収となる。
児童手当及び子ども手当特例交付金、減収補塡特例交付金(自動車取得税交付金分)の廃止により、地方特例交付金は減収補塡特例交付金(住宅借入金等特別税額控除分)のみとなり、対前年度比4億20百万円の減となる。
地方財政対策において、地方の社会保障関係経費の自然増に対応するとされるとともに、地方財政計画の特別枠として、「地域経済基盤強化・雇用等対策費」が新たに計上されたこと等による地方交付税総額の増額により、前年度に比して2億円の増となる。
国庫支出金は、被保護世帯数の増に伴う生活保護や利用者数の増による障害者自立支援給付に係る国庫負担金の増があるものの、子ども手当の制度改正、校舎耐震改修等の前倒しにより前年度に比べ13億63百万円の減。また、県支出金では、子ども手当の制度改正により増となるものの、緊急雇用創出事業の減等により対前年度比73百万円の減となる。
財政調整基金・グリーンニューディール基金繰入金の減、市民憩の森整備事業基金繰入金の増により5億10百万円の減となる。
本年度は新市建設計画による事業費が減少することから合併特例債を減額し、また、その他の事業についても発行の抑制に努めた。一方、後年度に地方交付税措置される臨時財政対策債や、高利の市債を低利で借り換えるための借換債の発行額が増加しているものの、これらを除いた市債発行額は前年度に比し1億99百万円の減となる。
外郭団体の統廃合に伴う10団体の解散、なら・シルクロード博記念国際交流財団の解散により寄附金として、9億19百万円を計上した。
定員適正化計画に基づき、効率的な人員配置を進めるとともに、退職欠員補充を極力抑制し削減に努めた。退職手当は退職者数の増加のため前年度比2億40百万円の増となり、依然高い水準にある。現下の厳しい財政状況に対応するため、職員の給料及び期末・勤勉手当について△2%~△5%のカットを実施することとし、全体としては、対前年度比△5億40百万円の減となる。
子ども手当の制度改正による減額、生活保護費・障害者自立支援給付費等の自然増のほか、児童福祉法に基づく障害児支援の強化等により対前年度比9億8百万円の増となる。
借換に伴う繰上償還や臨時財政対策債、退職手当債、合併特例債の償還増等により大幅な増加が見込まれるが、償還計画の変更による平準化に努めた結果、4億39百万円の増となる。
安全・安心なまちづくりを進めるため、防災対策を進めるとともに、民間保育所施設整備費補助等の保育所施設整備及び中学校給食室施設整備を行う。一方、道路整備など継続的な事業を着実に実施することとしたが、その他の事業は緊急性の高いものに限定して予算を配分した。また前年度において、校舎耐震改修等の前倒しや富雄第三小中学校の建設が完了したことなどから、総額は対前年度比12億77百万円の減となる。
介護保険給付費の増により、3億12百万円の増、後期高齢者医療制度の保険基盤安定負担金の増に伴い51百万円の増となるなど、対前年度比3億56百万円の増となる。
第4次総合計画を推進し、地域や住民のニーズに対応するための所要の経費を計上する一方、既存事業について、従来の発想にとらわれることなく徹底した見直しを図り財源の確保に努めた。