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テレビもネットも健康に関する情報が日々溢れていますが、中にはにわかには信じがたいトンデモ学説まで、同じ土俵で流布されるのが困りもの。市の消費生活相談にもさまざまな困りごとが寄せられています。今後も長寿大国の国民としては、健康寿命の延伸に益々関心が高くなるのは必至です。
確かにがんを根治する新薬の開発やiPS細胞のさらなる実用化が待ち遠しいところですが、人類が確実に「長寿命化」する中で、生きる(生き続ける)ことの意味や真の豊かさについて、改めて問い直す時期に来ています。先日、お盆で帰省した際に森本哲郎さんの「ゆたかさへの旅」という懐かしい本と再会しました。中学生の頃、夏休みの宿題に出された読書感想文の題材に選んだその本曰く、高度成長による物質的な充足により、これからは心の時代になると。出版から約半世紀が経ちますが、まだその「宿題」は答えを見つけられていないようです。