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不正受給にならないために
生活費に困っていないにもかかわらず生活保護を申請して受給したり、生活保護受給中に世帯の収入や世帯員の状況に変化があったにもかかわらず正しく届け出しない等不正な手段を使って保護費を受け取った場合に不正受給となります。
また、虚偽の申請等不正な手段を使って他人に受け取らせた場合も不正受給となります。
不正受給となったらどうなる?
不正受給と決定された金額(生活保護法第78条 徴収金)を福祉事務所へ返還しなければなりません。
その不正受給が意図的に行われたものであったり、返還に応じないなど、その行為が悪質と判断される場合は、告訴する場合があります。告訴となったときには、生活保護法第85条 に定める罰則が科されます。また、刑法に定めがある場合には、刑法による罰則が(優先して)科されます。なお、これらの罰則を受けた場合でも返還義務は免除されません。
届出の義務
生活保護受給中はすべての世帯員の収入や資産、世帯員の構成や状況等に変化があった時は、届け出る義務があります。
例
- 世帯員が働き出した。転職した。雇用形態が変わった。
- 子どもが就職・大学進学した。
- 世帯員が死亡・出産・転入・転出した。
- 相続などで資産を得た。
- 保有していた資産を処分して収入があった。 など
収入申告
生活保護受給中は、未成年者・世帯分離の人を含めたすべての収入について世帯員全員の収入申告を行う義務があります。
「就労先が決まった」「給与をもらった」「年金・手当をもらい始めた」等の場合は、必ず担当のケースワーカーまで申告してください。
働いたことによる収入
働いて得た収入(給料・ボーナスなどの臨時的収入)を翌月末までに申告すると、必要経費(交通費・社会保険料など)の控除だけではなく、基礎控除などの控除を受けられます。
また、未成年者(特に高校生)の場合は、基礎控除にあわせて未成年者控除や修学旅行費用等が収入額から除外される制度もあります。
期限までに申告がない、または、申告がないまま後日の調査で発覚した場合は、不正受給となり、基礎控除を受けられない等の不利益があるだけではなく、費用返還や懲役・罰金に処せられる場合があるので、必ず申告してください。
例
- 給与 (アルバイト・パートなど)
- 賞与・ボーナス など
働いたことによらない収入
働いたことによらない収入を得たまたは得ることになった場合は、必ず担当に申告してください。
期限までに申告がない、または、申告がないまま後日の調査で発覚した場合は、不正受給となります。
なお、生活保護受給中の借金(年金担保貸付を含む)は認められていません。仮に借金された場合は原則収入としてみなされ、保護費が減額(金額によっては保護停止または廃止)となります。
※ 奨学金等一部の貸付金は、認められる場合があるので、必ず事前に担当ケースワーカーに相談してください。
例
- 年金
- 手当
- 生命保険の給付金や解約返戻金
- 世帯員以外からの仕送りや援助
- 交通事故などによる損害賠償金
- インターネットオークション出品による収入
- 退去した住宅の返戻金 など
世帯の状況の申告
世帯の状況に変化があったときは、必ず届け出てください。何らかの理由で家族以外の人が一緒に暮らすことになったときも届出が必要です。
世帯の状況に変化があったにもかかわらず届出をしないことにより、過分の保護費を受け取った場合は、不正受給となります。また、世帯状況の変化によって保護費が増額となる場合でも遡って支給できるのは2ヶ月(2回の支給日)までです。
世帯状況の変化によって生活保護の受給にどのような影響があるのかなど不明な点があれば担当のケースワーカーに相談してください。
例
- 世帯員が転出または転入した
- 世帯員が出産または死亡した
- 世帯員が入院または退院した
- 世帯員が入学または退学した など
生活保護法第78条(費用の徴収)
不実の申請その他不正な手段により保護を受け、又は他人をして受けさせた者があるときは、保護費を支弁した都道府県又は市町村の長は、その費用の全部又は一部を、その者から徴収することができる。
生活保護法第85条(罰則)
不実の申請その他不正な手段により保護を受け、又は他人をして受けさせた者は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。ただし、刑法(明治40年法律第45号)に正条があるときは、刑法による。
リンク
厚生労働省ホームページ内の「生活保護制度の概要」<外部リンク> (別ウィンドウを開きます)