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【経営者必見!】令和4年度デザイン経営フロントランナー企業インタビュー

更新日:2023年2月6日更新 印刷ページ表示

​目次

中小企業の大きな革新力「アイデンティティ型デザイン経営」とは
~フロントランナー企業が「折り返し地点」で感じたこと~

【フロントランナー登壇!成果発表会を開催!】
宝塚市×奈良市 デザイン経営成果発表会
- 地域から生まれる革新経営 -を開催します。
日時:令和5年3月9日(木曜日)11時00分-13時00分
大阪市中央公会堂 特別室からYouTube LIVE配信!
どなたでも無料でご視聴いただけます【要事前登録】
■事前登録はこちらから<外部リンク>

中小企業の大きな革新力「アイデンティティ型デザイン経営」とは

VUCAの時代に企業成長を後押しするため、市ではデザインの力を企業のブランド構築や経営革新に活用する「デザイン経営」に力を入れています。昨年の秋から中小企業の熱意ある経営者を対象に、デザイン経営の専門家が一社ずつ伴走支援を行うプログラムを実施しています。本プログラムでは、専門家による6回のセッションを通じ、アイデンティティの抽出・アイデアの創出・アイデアの表現という3段階を経て事業・経営計画の作成を行います。そして3月の成果発表会でその計画を披露することにより、経営革新や機運の醸成につなげていきます。その先駆者(フロントランナー)として伴走支援を受けながらデザイン経営に取り組む経営者3名に、その想いと感想をお聞きしました。​​

市デザイン経営フロントランナー企業

株式会社ガーデンプロ関西 代表取締役 奥谷敏樹さん

個人邸・施設等の外構工事・ガーデン工事など、外回り全般の設計と施工を実施。「デザインと共に暮らす」をテーマに住む人の暮らしがより豊かになる唯一のプランを作成する。

倉本酒造株式会社 代表取締役 倉本隆司さん

清酒発祥の地・奈良。酒造は氷室跡が残る標高約500mの厳冬の地・都祁に。寒暖差の大きいこの地で良質な稲と山水を汲み創業から今日に至るまで地の利を活かした酒造りを行う。

合同会社パサージュ 代表社員 HIDEMIさん

フランス語で小径、移行を表すパサージュ。毎日が心地よく、楽しくなる雑貨やセレクトアパレルを取り扱う。女性のライフイベントに寄り添い、勇気を与えるスタイルを、奈良から提案。

※本事業は株式会社SASI(代表:近藤清人氏)への委託事業です。

倉本酒造 倉本隆司さん ガーデンプロ関西 奥谷敏樹さん パサージュ HIDEMIさん 奈良市デザイン経営フロントランナー企業育成プログラムに参加されています

本プラグラムに参加したフロントランナー企業の皆さん
(左から)倉本さん、HIDEMIさん、奥谷さん

 

デザイン経営に取り組み感じた変化

― 伴走支援が始まり、半分のセッションが終わりましたが、振り返っていかがでしたか?

HIDEMIさん:経営に向き合うためにも、自分の人生や原点について考える機会になりました。また、計画を立てる中で、ただ前に進むのではなく、原点に何度も立ち返って思考することにより、より洗練されクリアになっていく変化を感じました。その中で生じた不安や迷いにとことん向き合ってくれる、信頼できる専門家がいて非常に心強いです。

 

奥谷さん:業界の風潮として、家を建てた後に庭・外回りの相談に来られる顧客も多いのですが、本来は家と庭・外回りを分けずにトータルで「住まい」として考えるべきで、それが顧客の幸せにもつながるということを、より深く考えるようになりました。また、セッションを進めていく中で、見た目だけでない「デザインの力」をより上手に仕事に活用できています。具体的には、顧客の要望を聞き取る際に、その方の背景や大事にされているものをより深く聞き取り、広い視野で捉えることができるようになりました

 

倉本さん思考の整理をすることができました。セッションで想いを聴いて頂きながら話すことで、方向性の確認ができています。期待していることは、本当に自分がやりたいことが商品に結び付き、日本酒に興味の無い人にも伝わるものが生まれることです。また、創業1871年と歴史ある会社ですが、伝統を残すためにも変革に取り組むことは大切。室町時代の新技術により奈良は「清酒発祥の地」と呼ばれていますが、発祥の地を名乗るのであれば、「新しいスタンダード」となるものも奈良から生まれてくるべきだと考え、日々取り組んでいます。このような想いを伝える計画を作成したいと考えています。

 

今乗り越えるべき課題

―ビジョンをかなえるにあたって乗り越えるべき課題は何ですか?

HIDEMIさん:今までの経営について整理したところ、本来自分がやりたいことから逸脱しており、このままでは想像する未来に辿り着けないことに気がつきました。乖離している部分を自分自身に取り戻していくのですが、そのために自分に向き合い、目を逸らしたい部分も直視しなければなりません。それは非常に覚悟がいることで、今再構築にともなう大きな痛みを感じ、不安の原因にもなっています。しかし、それはアイデンティティの確立や、ビジョンの実現に必要な「副作用」と捉え、前向きに取り組んでいきたいと思います。

 

奥谷さん漠然と「家を建てたい」と考えている段階の方と出会い、繋がる方法を見つけるのが一番の課題です。例えば将来結婚式を挙げたいと考えている若い方が、式場やドレス等をイメージするように、「庭や外構はガーデンプロ関西に頼みたい」と選ばれるような存在になりたいと考えています。そうすれば、より様々な提案ができ、会社の価値を高めていけると思います。そのためには自ら発信をしていくことが必要と考えるのですが、例えばライフスタイルやカルチャーに乗せて発信をしていくようなアイデアや、従業員の個性を活かした発信方法など、様々な可能性を模索しているところです。

 

倉本さん:自分がやりたいことを、どう見せていくかが課題です。現状の商品では背景にある想いまでは伝えられていません。先日のセッションで生まれた「新しいスタンダードへの実験的な取り組みを、パッケージングにのせて伝えていく」というアイデアは、ぜひ取り組みたいと考えています。それを100%チャレンジングなものにすると、より想いを明確に伝えられますし、「実験」と考えるとワクワクします。一方で、これが本当に良いかどうか、思考を深めていく必要があります。更に次の課題として、チャレンジングな部分への注目だけで終わらず、本来の商品の購入や日本酒市場の活性化に繋がり、継続していく仕組み作りについても、取り組んでいきたいと考えています。

倉本酒造 倉本隆司さん ガーデンプロ関西 奥谷敏樹さん パサージュ HIDEMIさん 奈良市デザイン経営フロントランナー企業育成プログラムに参加されています

ビジョンをかなえた先に

―計画が実現した時、地域にどのような影響(インパクト)をもたらすと想像していますか?

HIDEMIさん:より多くの方に「自分らしく」生きてほしいと考えています。今のアパレルの経営を通じて伝えたいことの一つに、自分らしく居られる服を着て欲しいという想いがあります。その想いを実現していくためには今、私自身がしっかりと悩みに向き合い、乗り越え、自分らしくあり続けることが必要です。そうして顧客に想いが伝わり、皆が一日のうちで少しでも「自分らしく居られる時間」を積み重ねていけば、より良い世界に変わっていくと考えています。

 

奥谷さん:自分自身が目指すところは「クリエイティブのかたまり」となり、様々なことを思い描き、かたちにしていきたいと考えています。生まれるインパクトとしては、まずスタッフ・職人さんが日々やりがいを持ち生き生きと仕事をしていること。その姿や自分自身のチャレンジを発信することにより「自分でもできる・やってみよう」と思う方が増えると嬉しく思います。そして庭や外構を含め私達が作った「住まい」を気に入って幸せを感じる方が増えれば、それは素晴らしいことだと思っています。

 

倉本さん:結果として魅力的な雇用の創出や地域の活性化につながれば良いと考えています。実際に都祁の地で私自身が動いていく中で、様々な方からお声がけを頂くことが増えました。一社だけでは無理なところも、色々な方と協力し、つながりを広げることで恩返しもしていける。そのような取り組みが地域の中で波及し、自ら動いて新しいことを始める方が増えれば、相乗効果で良い方向に変わっていくと考えています。

 

他業種・業者との共創(コ・クリエイション)

―将来的に共創(コ・クリエイション)してみたいと考える業種や会社はありますか?

HIDEMIさん:旅をすることにより本来の「自分が見つかる」という体験があるように、「自分らしく生きる」という想いを伝える方法として「旅」との親和性の高さを感じています。現状アパレルの経営が100%ですが、物質的なものに限らず、もしかしたらサービスや無形のものの方が、「自分らしく生きる」こととのシナジーが生まれやすいのかもしれません。また、色々な業界の方と関わり合い作り上げていくことが好きなので、多種多様な可能性を探っていきたいです。

 

奥谷さん:様々な業種の方と関わり合う中で、対話を重ねたり、新たな知見を得たりすることが、私自身の財産となり、より豊かな提案力やデザイン力に反映されると考えています。形ある共創はもちろんのことですが、このように形として残らない共創についても、ぜひ取り組んでいきたいです。

 

倉本さん:何のために共創するのか、という目的が明確であれば、どの業種とも共創していくことができます。できるなら飲食に全く関係のない業種との共創も積極的に取り組んでいきたいです。そうすると全く新しいものが生まれることが期待でき、また、今まで日本酒とつながっていなかった、新しい市場やブルーオーシャンの開拓にもつながっていくと考えています。

 

中小企業経営者へのメッセージ

―デザイン経営の伴走支援に興味があり、これから取り組もうか迷っている方にアドバイスをするとすれば?

HIDEMIさん迷っている方ほど取り組んだ方が良いと思います。私が参加しようと思ったきっかけは市デザイン経営のセミナーで聴いた「ただただ、自分であれ」という言葉です。自分で自分のことは分からないものなので、コンサルティングを通じて見つめ直すことが必要です。この事業では「アイデンティティ」に重きを置いているので、自分自身で作り上げた「枠」が出来る前の「原点」にまで立ち返ることができ、有意義だと感じました

 

奥谷さん:「デザイン経営」という言葉に興味を惹かれるということは、今、ちょうど必要とされているからだと思います。自分一人ではなかなか答えは出ないことが多いので、対話を通じてフィードバックや言語化していただき、こちらのアイデアを受け止めて真剣にアドバイスしてもらえるのは非常に心強いです。現在経営が安定している方も、これからすごいスピードで環境が変化する時代ですので、自分自身が成長し続けるためにも、取り組むと良いと思いました。

 

倉本さん:いろいろな形の「デザイン経営」があると思いますが、アイデンティティという、自らの原点まで立ち返り、整理し、向き合い、土台をしっかり作る手法のデザイン経営であれば、少しでも悩んでいる方にとって、有意義な取り組みとなると感じています。ただ今はまだ、私自身道半ばなので、全て終わってサービスや商品が生まれてから分かることもあると思います。

<参考リンク>
宝塚市×奈良市 デザイン経営成果発表会 - 地域から生まれる革新経営 - <外部リンク>
■デザイン経営フロントランナー企業の決定について
■奈良市デザイン経営フロントランナー企業育成プログラムについて
■デザイン経営について学ぶ(令和3年度セミナー、対談記事)