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認定新規就農者 小田大空さん

更新日:2024年3月1日更新 印刷ページ表示

小田大空さん

小田さん1

プロフィール

奈良県出身。大学卒業後、大手紳士服メーカーに勤務し、徳島県板野町地域おこし協力隊として従事。2022年に奈良市で就農。

品目

タデアイ(藍染の原料となる工芸作物)

販売先

全国の染め師
※すくもを販売。すくもは、タデアイを乾燥、発酵・熟成させ粉状にしたもの。藍染の染料。

就農のきっかけ

大学生の時に参加した染のワークショップで藍染と出会ってその魅力を知り、元々持っていた起業や経営への興味を藍染という仕事で形にしたいと思うようになりました。1年間の茶畑でのバイト経験から、日が昇れば仕事を始め日が沈めば仕事を終える、農という生き方・暮らし方そのものに面白さを感じていたこと、そして藍染の一番初めの段階から携わりたいという気持ちから、就農を決めました。

生産品目(タデアイ)、藍染について

僕はすくもの販売と、染の請負仕事の両方で生計を立てています。良い染めをするには良質なすくもが必要で、質の良いタデアイの生産が不可欠です。染の仕事だけで食べていくのは厳しいと言われているのですが、すくもは需要に対して供給が足りていません。近年の環境問題・SDGsへの関心の高まりも相まって、日本の藍は世界から注目され、海外需要も伸びているように思います。

小田さん4

1年のスケジュール(タデアイ生産)

 
播種、苗床、苗の移植
除草、施肥、水やり、刈取り、選別、乾燥
発酵、手板法での発酵状態の鑑定

すくもの粉砕・保温、出荷作業

ある日の作業

9月のある一日

午前5時~ 昨晩の残りの刈り取り
午前7時~ 選別
午前10時~ 染色
午後4時~ 刈り取り
午後8時~ 書類仕事

*取材時期の8月は刈取り、選別が中心
*一年全体の作業量としては農業6割、染4割

小田さん2

小田さん3

実際に就農してみて

設備投資については、就農前に見積っていた額の6倍くらいかかってしまい(笑)資金調達が大変でした。また初年度は、すくもは初回の生産にとりかかったところで売るものがないし、染の仕事は受ければ受けるほど赤字が出る状態だったので、貯金を切り崩す生活。ですが1年経過した今は、すくもの生産量・販売量はともに順調で、これから回収していくぞ、というところ。農地の貸借についても、補助金等の資金調達についても、多くの人に自分の夢を応援してもらってる状態なので、油断せず、必ずやり切ろうと思っています。

ワークライフバランスについて

完全なオフの日はないです。日曜日は妻と遠出したりするんですが、夕方には仕事をしたくて帰ってきます。オンオフあまり分けて考えてません。自分のやりたいことをやっているので、仕事の時間が長くて嫌だという気持ちはないです。こういった働き方には、自分の仕事を好きでいること、興味を持ち続けられていることが何より大事かなと思います。

農業の魅力

日々の作業に一喜一憂することがあまりないかわりに、常に充足感があります。農業で生計を立てるという事は経営者になるということでもあるのですが、自分は事業の展開を考えることも好きなので楽しいです。SNSでの発信にも力を入れていますが、方針をしっかり練って運用するようになってから、SNS経由での染仕事の依頼が増えました。また従業員の雇用を始めたのですが「みんながみんな、自分みたいに何時間でも働ける訳じゃないよな」という当たり前のことを思い出し(笑)他人の気持ちも考えて経営していかなければならないなと、日々、経営者としても成長させてもらってます。ただ、いくら経営のことを頭で考えても、例えば天候不良が続けば簡単にこけてしまう可能性があるのが農業。考えるのと、成り行きに任せるの、どちらも大事だなと思っています。

奈良での就農

経営を開始することだけを考えれば、藍の生産がさかんな他地域のほうがよっぽど始めやすかったとは思います。ただ自分は、生産や販売の基盤がない地域の方が自分の存在を知ってもらいやすいだろうと思い、親戚の縁があった奈良市での就農を決めました。ですが奈良にはタデアイ生産の実績がない分、市町村に経営計画を認定してもらう「認定新規就農者」になるには時間がかかりました。奈良の行政にはタデアイ生産に関する情報がなかったので、自分の立てる計画の内容が、奈良において真に実効的なものであるか、判断しにくかったのだと思います。市場が小さい奈良でのスタートアップはしんどかったけれど「奈良で藍といえば小田」というのを目指していきます。

今後の目標

農業の生産効率を上げることと、従業員にもっとお給料を渡せるようになることが、目下の目標です。工房ももっと大きくし、法人化もする予定ですが、クオリティや望ましい働き方を維持できる規模で展開していきたいです。自分たちが好きなものを作り、それをしっかり発信し、興味を持ってくださったクライアントに安心して発注していただく。そして僕たちの物づくりに、共感してもらえたらいいと思っています。

小田さん1


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