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性感染症について

ページID:0203716 更新日:2024年4月1日更新 印刷ページ表示

性感染症の基礎知識

性感染症(Sexually Transmitted Infections)は性行為または性行為に類似する行為によって、直接ヒトからヒトへ感染する病気です。
精液や膣分泌液、血液に潜んでいる細菌やウイルスなどが、粘膜から侵入し感染します。
代表的な性感染症には、HIV感染症(エイズ)、性器クラミジア感染症、性器ヘルペス感染症、淋菌感染症、梅毒などが挙げられます。
性感染症は目立った自覚症状が出ない場合があり、感染した本人も気付かないまま感染が拡がっていることがあります。20歳代の罹患が多く、近年は10歳代の感染も増加傾向です。

治療について

性感染症の多くは治療ができますが、早期の段階で治療しなければ、合併症や後遺障害が残る可能性があるものもあり、早期発見・早期治療がとても重要です。治療方法は感染症の種類によって異なります。
医療機関を受診し、必ずセックスパートナーと一緒に治療しましょう。

 

 梅毒について 性器クラミジア感染症について 淋菌感染症について 

   性器ヘルペス感染症について  尖圭コンジローマについて

 

梅毒患者が急増中!!

梅毒患者数の年次推移
                            出典:厚生労働省「性感染症報告数」

2019〜2020年にかけて減少傾向でしたが、2021年以降再度増加に転じており、2022年の速報値でははじめて1万人を超えました。

梅毒とは<外部リンク>

梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum subspecies pallidum:T. pallidum )による細菌性の性感染症です。感染後の期間と症状により、第1期から第4期に分類され、特に早期(第1期・第2期)の梅毒に感染力があります。

症状
  • 第1期
    通常、約3週間の潜伏期間を経て、梅毒トレポネーマの侵入箇所に小豆くらいの堅いしこり(初期硬結)が出来ます。
    やがてしこりの周辺が盛り上がると同時に中央に潰瘍ができ、表面がただれるようになります(硬性下疳)。いずれも無痛性であることが多いです。このしこりは治療をしなくても1か月程度で軽快するため、気付かれないことがあります。
  • 第2期
    感染から約3か月経過すると梅毒トレポネーマ​が血行性に全身へ移行し、全身の皮膚や粘膜に大小さまざまな形で赤褐色の発疹ができます。発疹は多岐にわたり、丘疹性梅毒疹、梅毒性乾癬、バラ疹などが高い頻度で認められます。
    その他にも肝臓、腎臓など全身の臓器に様々な症状を呈することがあります。発疹は治療をしなくても、多くの場合、数週間〜数か月で消退します。
  • 第3期・第4期(感染後2年以上)
    無治療の場合、感染後数年〜数十年後に、ゴム腫、心血管症状、進行麻痺、脊髄癆などを引き起こすことがあります。なお、神経梅毒はどの病期でも起こります。
  • 先天梅毒
    妊婦が梅毒トレポネーマ​に感染すると胎盤を通じて胎児に感染し、流産、死産、先天梅毒を起こす可能性があります。先天梅毒には、生後まもなく皮膚病変、肝脾腫、骨軟骨炎などを認める早期先天梅毒と、乳幼児期は症状を示さず、学童期以降にHutchinso 33徴候(実質性角膜炎、感音性難聴、Hutchinson歯)を呈する晩期先天梅毒があります。
検査

血液検査
※感染を疑うことがあった日より1か月経ってから受検すると、正確な検査結果を判定することができます。

治療方法

抗生剤の注射または内服

梅毒に関するQ&A|厚生労働省 (mhlw.go.jp)<外部リンク>

ダウンロード

いま、梅毒が急拡大していることをご存じですか。
厚生労働省「いま、梅毒が急拡大していることをご存じですか?」<外部リンク>

いま、梅毒が急拡大しています。
​厚生労働省「いま、梅毒が急拡大しています」<外部リンク>

妊娠がわかったら先天梅毒を防ぐために妊娠届を出して妊婦健診を受けましょう。
厚生労働省「梅毒の感染が拡がっています(イラスト)​」<外部リンク>

梅毒の感染が拡がっています【B】
厚生労働省「梅毒の感染が拡がっています(写真)」​<外部リンク>

日本で一番多いのは、性器クラミジア感染症

     性器クラミジア感染症の年次推移
            ​  出典:厚生労働省「性感染症報告数」

世界で最も報告が多い性感染症で、日本も同様に2003年までは増加の一途をたどっていましたが、それ以降は一定で推移しています。女性の性感染症の6割を占め、年齢階級別にみると10歳代~20歳代の若年層が多くを占めています。

性器クラミジア感染症とは<外部リンク>

クラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis)という病原体の性感染症です。クラミジアに感染すると、HIVの感染リスクが4,5倍高くなります。

症状
  • 感染しても男女ともに症状が出ないことが多いです。
  • 女性:おりものの増量、不正出血、性交時の痛み、下腹部の痛み
  • 男性:排尿時の違和感、陰部のかゆみや不快感、陰部から透明の尿道分泌物
  • 新生児:分娩時の産道感染により、新生児結膜炎や新生児肺炎を発症することもあります。
  • 治療をしないと、男女ともに不妊の原因となります。女性の場合、子宮外妊娠や流産を引き起こす場合もあります。
検査

尿や尿道分泌液、おりものなどの分泌物の検査
血液検査

治療

抗生剤の内服

20歳代に多い!淋菌感染症

 淋菌感染症の年次推移
​            出典:厚生労働省「性感染症報告数」

淋菌感染症は世界中に存在しており、世界では増加傾向にありますが、日本では近年は横ばいで推移しています。

淋菌感染症とは<外部リンク>

淋菌Neisseria gonorrhoeae (gonococci)の感染による性感染症です。
淋菌は弱い菌で、患者の粘膜から離れると数時間で感染性を失い、日光、乾燥や温度の変化、消毒剤で簡単に死滅し、性交や性交類似行為以外で感染することはまれです。

症状
  • 男性:尿道に淋菌が感染すると、2 ~9 日の潜伏期を経て通常膿性の分泌物が出現し、排尿時に痛みが出ます。
    ※最近では、男性の場合でも症状が典型的でなく、粘液性の分泌物であったり、場合によっては無症状に経過することも報告されています。
  • 女性:男性より症状が軽くて自覚されないまま経過することが多いです。おりもののが増えたりすることもあります。卵管性不妊や子宮外妊娠の原因にもなります。
  • 淋菌性結膜炎:新生児の産道感染によるものと、成人でも感染者の手についた菌からおこるものがあります。
検査

尿や尿道分泌液、おりものなどの分泌物の検査

治療

抗生剤の注射または内服

繰り返し再発する?!性器ヘルペス感染症

 性器ヘルペス感染症の年次推移
​            出典:厚生労働省「性感染症報告数」

かつては幼少期に単純ヘルペスウイルス感染者から、唾液等を通じて初感染することが多くありました。しかし、最近では性行動に伴って感染することが多くなり、一度感染すると神経節に潜伏します。治療により病変は一旦治癒しますが、時に再活性化し、その後長年にわたって再発を経験します。

性器ヘルペス感染症とは<外部リンク>

単純ヘルペスウイルス(Herpes simplex virus:HSV)によるウイルス性の性感染症です。HSVに感染している相手との性交によって起こり、相手の性器に明らかな病変がある場合のみならず、無症状でも性器の粘膜や分泌液中にウイルスが存在する場合には感染します。相手の唾液中にHSV が排出されている場合には、オーラルセックスでも感染します。

症状
  • 初感染:感染機会があってから約2~10日後に外陰部の不快感、かゆみなどの前駆症状ののち、発熱、全身倦怠感、リンパ節の腫れ、強い痛み等を伴って、多発性の浅い潰瘍や小さな水ぶくれが急激に出現します。約2~4週で自然治癒することがあります。
    病変部位は男性では包皮、冠状溝、亀頭、女性では外陰部や子宮頚部です。髄膜炎を合併することもあります。
  • 再発:心身の疲労、月経、性交その他の刺激が誘因となっておこります。急性型に比べて病変は小さく数も少ないなど症状は軽く、1週間以内に治癒することが多いです。再発の回数は月2〜3回から年1〜2 回と様々です。
  • 新生児:妊婦が妊娠時に性器ヘルペスに感染すると、全身ヘルペスを発症することがあります。
検査
  • 水ぶくれの一部を採取
  • 血液検査
治療

抗ウイルス薬の内服や軽症の場合、軟膏塗布

ゆるやかに増加傾向、尖圭コンジローマ

 尖圭コンジローマの年次推移
​            出典:厚生労働省「性感染症報告数」

世界中に分布しており、日本では年間10 万人あたり30 人程度の発症がみられています。

尖圭コンジローマとは<外部リンク>

ヒトパピローマウイルス6、11型などが原因となるウイルス性の性感染症です。
女性の場合、放置するとウイルスのタイプによって子宮頸がんの発症につながることがあります。

症状
  • 一般に自覚症状に乏しいですが、先のとがったカリフラワー状のいぼができるのが特徴です。
  • 男性:陰茎の亀頭部、冠状溝、包皮内外板、陰嚢、女性:膣、膣前 庭、大小陰唇、子宮口、男女ともに肛門及び周辺部、尿道口にできることが多いです。
  • 外陰部のしこり、違和感、おりものの増量、かゆみ、いたみが初発症状となることが多く、20〜30%は3 カ月以内に自然消退します。
  • 新生児:産道感染により、多発性喉頭乳頭腫や尖圭コンジローマを発症する場合があります。
検査

視診(粒状の表面をもつ鶏冠状またはカリフラワー状のいぼをみて診断)

治療

外科的治療(切除、CO2 レーザー蒸散法、電気メスによる焼灼法や液体窒素による凍結法)
軟膏塗布
※複数の治療法があり、1つの治療法では完治せず、他の治療を併用する場合もあります。

この症状、もしかしたら…「どうすれば」

性感染症検査は保健所、医療機関で行っています。

保健所

全国の保健所でHIV検査を無料匿名で行っていますが、HIV以外の検査は保健所によって実施が異なります。
HIV検査・相談マップ<外部リンク>で全国の保健所が実施している性感染症をご覧いただけます。
奈良市保健所では、HIV・梅毒・肝炎の検査を実施しております。 

医療機関

  • 男性:泌尿器科、皮膚科など
  • 女性:婦人科、産婦人科、皮膚科など
  • 症状があって受診する場合は、加入している医療保険の適応となります。症状がなく念のための受検の場合、自費となることがあります。費用については事前に医療機関へお問合せください。

引用・参考

Adobe Reader<外部リンク>

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