本文
大気汚染防止法の改正(石綿飛散防止対策の強化)について(令和3年4月1日以降に順次施行)
令和2年6月5日に、建築物等の解体等工事における石綿(アスベスト)の排出等の抑制を図るため、「大気汚染防止法の一部を改正する法律」(令和2年法律第39号。以下、「改正法」という。)が公布されました。
改正法は、令和3年4月1日から順次施行されますのでお知らせします。
改正法及び政省令等の施行時期
令和3年4月1日施行 | 令和4年4月1日施行 | 令和5年10月1日施行 |
---|---|---|
|
事前調査結果の都道府県等への報告 | 事前調査及び作業終了時の確認を行うものの資格要件 |
改正の主な内容
- 規制対象の拡大 【特定建築材料】 これまで、特定建築材料は「吹付け石綿(いわゆるレベル1建材)」、「石綿を含有する断熱材、保温材及び耐火被覆材(いわゆるレベル2建材)」と規定されていましたが、範囲が拡大され「石綿含有成形版等(いわゆるレベル3建材」を含むすべての石綿含有建材に変更されました。 【作業基準】 「石綿含有成形版等(いわゆるレベル3建材)」について、新たに作業基準が規定されました。 【作業基準遵守等の対象】 作業基準を遵守しなければならない者及び作業基準適合命令等の対象となる者に、下請負人が加えられました。
- 事前調査の信頼性の確保 【事前調査方法の法定化】 すべての解体等工事について、設計図書その他の書面による調査及び特定建築材料の有無の目視による調査を行い、その上で特定建築材料の有無が不明の場合は分析による調査を行うことが義務付けられました。ただし特定建築材料ありとみなして作業基準を遵守する場合は、分析調査は不要です。 【有資格者による事前調査】(※令和5年10月1日施行) 解体等工事の元請業者又は自主施工者は、建築物の解体等工事に係る事前調査において書面による調査及び目視による調査は、「一定の知見を有する者」に行わせることが義務付けされました。「一定の知見を有する者」は以下のとおりです。 ・建築物石綿含有建材調査者講習を終了した者 (一戸建て等石綿含有建材調査者は、一戸建て住宅等に限る ・義務付け適用前に一般社団法人日本アスベスト調査診断協会に登録された者 【事前調査結果の奈良市への報告】(※令和4年4月1日施行) 一定規模以上の解体等工事(奈良市内の工事)の元請業者又は自主施工者は、事前調査を行ったときは、遅延なく、当該調査の結果を奈良市へ報告することが義務付けられました。 ※報告対象工事の要件 ・床面積80m2以上の建築物の解体工事 ・請負代金の合計が100万円以上の建築物の改造・補修工事 ・請負代金の合計が100万円以上の工作物(環境大臣が定めるものに限る)の解体・改造・補修工事
- 直接罰の創設 【届出対象特定工事に係る除去等の方法の違反】 「吹付け石綿(いわゆるレベル1建材)」、「石綿を含有する断熱材、保温材及び耐火被覆材(いわゆるレベル2建材)」を改正法で規定する作業基準により除去等を行わなかった場合、「3月以下の懲役又は30万円以下の罰金」が適用されることになりました。下請負人についても作業基準の遵守義務の対象に新しく追加されましたので、上記の直接罰の適用も同様に対象となります。 【事前調査結果報告の義務違反】(※令和4年4月1日施行) 事前調査結果報告(奈良市内の工事)を奈良市へ報告せず 、又は虚偽の報告をした場合、「30万円以下の罰金」が適用されることになりました。
- 不適切な作業の防止 【除去等作業が終了したことの確認】 元請業者又は自主施工者は、特定建築材料の除去等の完了後に除去等が完了したことの確認を適切に行うために必要な知識を有する者(石綿作業主任者等)に目視により確認させる必要があります。 【石綿含有建材の除去等作業の結果の発注者への報告】 元請業者は、特定粉じん排出等作業の結果を遅延なく発注者に書面で報告することが義務付けられました。また当該特定粉じん排出等作業に関する記録を作成し、その記録及び発注者へ報告した書面の写しを特定工事が終了した日から3年間保存することが義務付けられました。
- その他
都道府県等による立入検査対象の拡大,災害時に備えた建築物等の所有者等による石綿含有建材の使用の有無の把握を後押しする国及び地方公共団体の責務の創設等、所要の規定が整備されました。 - 施行期日
改正法は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日(令和3年4月1日)から施行することとします。ただし、事前調査結果の報告については、公布の日から二年を超えない範囲内において政令で定める日(令和4年4月1日)から施行することとします。
特定建築材料等の種類と規制等(改正法等の施行後)
レベルの分類(飛散性) |
特定建築材料等の種類 |
事前調査 (調査の実施、※市への報告、結果の掲示) |
作業計画の作成 |
作業実施届出 |
作業基準の遵 守 |
---|---|---|---|---|---|
レベル1 (著しく高い) |
石綿含有吹き付け材 |
必要 |
※必要 | 必要 | 必要(※違反時の直接罰あり) |
レベル2 (高い) |
石綿含有断熱材 石綿含有保温材 石綿含有耐火被覆材 |
必要 | ※必要 | 必要 | 必要(※違反時の直接罰あり) |
レベル3 (比較的低い) |
石綿含有成形板 ※石綿含有仕上塗材(施工方法にかかわらない) |
必要 | ※必要 | ー | ※必要 |
―
|
石綿を含まないその他の建築材料 | 必要 | ー | ー | ー |
※今般の改正による新設等
石綿含有仕上塗材の取り扱いの整理
従来は、吹付け工法で施工された石綿含有仕上塗材については、平成29年5月30日付け環水大大発第1705301号により【レベル1建材】として取り扱っていましたが、今般の法改正を受け、令和3年4月1日以降は、工法にかかわらず【レベル3建材】として取り扱うこととなりました。届出は不要となりますが、新たに作業基準が規定されましたので注意してください。ただし「石綿含有吹付けパーライト」及び「石綿含有吹付けバーミキュライト(ひる石)」についてはこれまでと同様、【レベル1建材】として取り扱います。
特定粉じん排出等作業実施届について
特定粉じん排出等作業実施届について(添付書類、作業基準など)、建築材料別の石綿飛散及びばく露防止対策の概要、作業の一般的手順、事前調査の実施方法、事前調査の結果と作業内容の掲示板の例などはこちらの大気汚染防止法に基づく特定粉じん排出等作業のしおり [PDFファイル/3.17MB]を参考にしてください。
詳細
上記以外にも改正が行われていますので、詳細については、下記の関連リンクより環境省ホームページをご確認ください。
関連リンク
●環境省ホームページ
・改正大気汚染防止法について<外部リンク>
(抜粋)
石綿飛散防止リーフレット<外部リンク>
石綿飛散防止チラシ<外部リンク>
【法改正説明資料】大気汚染防止法及び政省令の改正について<外部リンク>
・建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアル<外部リンク>