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Nara Crafts Cross Project【伝統工芸事業者支援事業】
【お知らせ】
(令和6年10月28日更新)
・第2回公開講座の様子について更新しました。
Nara Crafts' Cross Projectについて
奈良市では“次代の工芸作家のフロントランナーを創出する”をコンセプトに、工芸に関する多面的な支援を展開するNara Crafts’Cross Projectを令和4年度より実施しています。
Nara Crafts’ Cross Projectでは、昨今の変化の激しい時代の中でも自分自身のビジョンや戦略を見据え、工芸活動を営む方々に対し、経営に関する多面的な支援を通じて、工芸作品や技術を新たな時代に繋げていくための取組を行います。
※この事業は奈良市伝統工芸事業者支援委託事業として、株式会社小学館集英社プロダクションに委託し実施しています。
Nara Crafts’ Cross Projectが目指す未来
次代の工芸作家のフロントランナー創出へ
Nara Crafts’ Cross Projectのカリキュラムを通じた気づきやノウハウに基づいて創造的な事業活動を行っていただき、数年後に奈良工芸発展に向けたフロントランナーとして自走する工芸作家の創出を目指します。
他の工芸作家や消費者との繋がりを深め、未来の後継者へバトンを渡す
他の工芸作家や専門学校等で技術を学ぶ後継者候補の学生、買い手である消費者等に対し、Nara Crafts’ Cross Projectや事業に参加する工芸作家の姿を知ってもらうことで、工芸の気運醸成や奈良工芸の道に進んでもらえる後継者の獲得を目指します。
古都奈良の地で、次の歴史への第一歩となる取組を
1300年もの間、時代とともに姿を変え、紡がれてきた奈良工芸は、まだまだ気づかれていない様々なポテンシャルを秘めています。Nara Crafts’ Cross Projectを通じ、奈良工芸の伝統や技術と、次の時代を見据えた視点の両方を大切にしながら、奈良だからできる工芸の形を提唱していくことで、工芸作家の方々が「奈良で創作をしていくと、色んな刺激を受けることができるんです」と笑顔で話してくれる未来を目指します。
事業実施の背景
従来より、奈良市では、なら工藝館の運営<外部リンク>や伝統工芸後継者育成研修の実施等を通じ、奈良工芸の振興施策を実施してきたこともあり、現在も奈良には多数の高度な技術力を持つ工芸作家の方々が奈良の伝統工芸に携わっていただいております。
しかし、技術革新やライフスタイルの変化による安価な日用品の台頭や、生産者の高齢化等による廃業などの影響から、伝統工芸産業は生産額、従業者数共に縮小の一途をたどっています。
こうした社会情勢の中で、工芸が紡いできた伝統を受け継ぎながら、自分の作品や事業を新たに展開していく意欲ある作家に対して新たな方法で多面的な支援を行うことで、技術力と経営力を兼ね備えた次代の工芸作家を創出することを目的にNara Crafts’ Cross Projectを立ち上げました。
令和6年度支援プログラム概要
令和6年度に行われる受講生、コンテンツ内容及びプログラムの様子についてご紹介します。
令和6年度受講生について(50音順)
【奈良漆器】伊原 夕貴(いはら ゆき)さん
<自己紹介>
大学で漆芸を学び、約10年間制作活動をしてきました。奈良漆器の特徴である螺鈿技法は、他の工芸品にはない独特の美しさがあります。この美しさを存分に生かした作品を制作するために、奈良漆器の伝統技術を学びたいと考えています。
【奈良漆器】出口 紗也佳(でぐち さやか)さん
<自己紹介>
幼少の頃より美術に関心があり、特に心惹かれたのが工芸の世界です。高校生の時に漆塗りを体験し、より深く学びたいと思い大学に進学しました。大学では髹漆(きゅうしつ)や乾漆、蒔絵等の基本的な技術を一通り習得し、現在は主に茶道具や立体作品を制作しています。
プログラムのコンテンツ
伴走型支援
現状や課題を踏まえた目指すべき姿や課題の整理を行った上で、目標達成に必要な知識やノウハウが習得できるよう手段の検討を通じ、参加者が自立して目標達成に向けた行動がおこせるよう、専門家が伴走支援できめ細かなコンサルティングを行います。
公開講座
工芸作家に対し、工芸作家に特化した販売戦略等に関する内容の公開セミナーを開催します。有識者の方による講座や参加者同士のセッションを通じ、工芸のこれからについて考え、学ぶきっかけとなる講座を開催します。
プログラムの様子
キックオフミーティング(5/22開催)
令和6年5月22日、受講生2名に対してNara Crafts' Cross Projectのキックオフミーティングを行いました。これから伴走で支援する梶さんからは、この約1年間で実施するカリキュラムの説明をしていただきました。受講生2名の自己紹介やこのプログラムを通して得たいこと等お話いただき、和やかな雰囲気でスタートしました。いよいよ来月から伴走支援が開始します。
第1回 公開講座実施しました(8/24開催)
工芸作家の販売戦略、ブランディングの一環として公開講座(参加無料)を開催しました。オンライン参加者含む総勢70名以上の方にご参加いただきました。
今回は宮内庁正倉院事務所 前所長の西川 明彦氏を講師としてお招きし、伝統工芸に携わる方、または伝統工芸にこれから携わりたいと考えている方向けに、正倉院宝物の書籍や資料だけでは分からない作家が興味を持ち、知りたいと思うところである正倉院の宝物を作った「わざ」と「道具」にスポットを当てて解説いただきました。
タイトル
正倉院宝物の「わざ」と道具
講師
宮内庁正倉院事務所 前所長 西川 明彦 氏
内容
1300年以上前、シルクロードを渡って日本にもたらされた正倉院宝物。繊細で美しい宝物はどのようにして作られたのか。奈良時代の優れた「わざ」と道具について語っていただきました。当日は正倉院宝物の再現模造などで使用した道具のサンプルも用意し、実際にみることのできる特別なプログラムとなりました。
日時・場所
令和6年8月24日(土曜日)17時00分~18時30分
BONCHI 4階TEN(奈良市橋本町3-1)
対象者
伝統工芸に携わる方、または伝統工芸にこれから携わりたいと考えている方
第2回 公開講座実施しました(10/12開催)
今回は株式会社ソルトコ 代表取締役の福嶋 賢二氏を講師としてお招きし、工芸作家に使えるセルフブランディングの方法を教わりました。大切で、想いのある作品をうまく伝えるためにはどうすればいいのか?そもそも奈良工芸とは?セルフブランディングを通して、自身が手掛けた作品に込めた想いを言語化する方法を学び、販売会や展示会で発信する際のヒントが得られる講座&ワークショップとなりました。現地参加の方には、参加者同士でペアになって行うミニワークショップも実施しました。最後には交流会の時間も設け、皆さんの中での気付きが多い時間となりました。
タイトル
工芸作家に使えるセルフブランディング~奈良工芸の今と未来~
講師
株式会社ソルトコ 代表取締役/クリエイティブディレクター デザイナー 福嶋 賢二 氏
日時・場所
令和6年10月12日(土曜日)17時00分~18時30分
BONCHI 4階TEN(橋本町3-1)
【過去】令和5年度プログラム概要
令和5年度に実施したプログラムの様子についてご紹介します。
支援内容
伴走型支援
株式会社和える、による伴走型支援を通して、現状や課題を踏まえた目指すべき姿の顕在化や長期目標の設定参加者及び参加者の作品のリブランディング、具体的な取組指導を行うとともに、作品の魅力の更なる磨き上げができるよう、参加者の状況に応じたきめ細かな伴走型支援を行いました。
公開講座
有識者の方との双方向の講座を通じて、工芸のこれからについて考え、学ぶきっかけとなる公開講座を開催しました。
講演テーマ
時代を超える本質的なものづくりを探求し続けている永田宙郷さんを講師に迎え、工芸を筆頭とした地域やクラフトを取り巻く環境を、大局的な視点でお話しいただきました。
日時・場所
令和5年12月11日(月曜日)17時00分~18時30分
BONCHI 4階TEN(奈良市橋本町3-1)
講師
永田 宙郷(ながた・おきさと)さん
福岡出身。金沢美術大学芸術学専攻を卒業後、美術館やデザイン会社での勤務を経て、2019年にTIMELESSを設立。「ものではなく、ものづくりを作る」を理念に掲げ、地域産業や工芸へのコミットメントと、ものづくりコミュニティとのネットワークを活用し、多くの商品や事業の開発に携わる。2012年より「ててて商談会」を共同主宰し、2016年には「Designart」を共同発起。2021年、海上建築ベンチャー「N-ARK」設立に参画。