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男性の育児休業の好事例企業~奈良県地域労働文化センター

更新日:2024年4月25日更新 印刷ページ表示

奈良県地域労働文化センター

育児介護休業法の改正で、「産後パパ育休」という形で男性の積極的な育児参加が推奨されていますが、人手不足が深刻化する中、困難な現状があります。特に奈良県は、女性の就業率が低いことが以前から課題になっています。そんな中、いち早く男性育休を取得された奈良県職員の須貝さん。

今から10年ほど前、男性が育休をとるという前例が、まったくと言っていいほどなかった時代に約1か月間取得され、時代の先取りともいえる経験をされた奈良県職員の須貝縦さんに、男性育休の意義や今後社会全体に広げていくための課題をお伺いしました。

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男性育休のフロンティア

Q.須貝さんが育休を初めて取得された当時、男性で育休を取得される方はほとんどいなかった時代だと思いますが、育休を取得されたきっかけはありますか?

A.育休はこれまでに2回取得していて、1回目は県職員3年目、その後環境省に出向になり、2回目は環境省から戻ってからになります。県庁2年目のときに労働組合に青年部を立ち上げて部長になり、労働組合として育休を推進したい、と考えていました。働きやすい職場とするために、自分でも育休を取得しようと決めていました。

それと、女性は、子供を産んで1ヶ月ぐらいは本当に動けないし、何もできないというのを、みんなから聞いていました。両親も遠方で頼れないとなったら、夫、つまり私しかいない。また、「1ヶ月だけ取得してほしい」というのは、妻の希望でもありました。

Q.当時の職場環境はどうでしたか?

A.直属の上司が、労働組合役員の経験者だったのです。育休にも理解のある上司で、大賛成してくれました。さらに上位の上司は、少しびっくりしていましたが、育休復帰後、「県職員にも育休の実績があることを様々な場面で言えたのは、須貝くんのおかげだよ」と喜んでくれました。そういう意味でも本当に取ってよかったと思います。

円滑な業務引継ぎは人間関係の構築の賜物

Q.育休取得時の仕事のやりくりは、どうされましたか?

A.自分にできることは事前に対応し、後は周りの人に割り切ってお願いしました。同僚とは仲が良かったので、「申し訳ないけれど、少し迷惑はかけるが、ここまではやっているから」と引継ぎました。人間関係ができていたので、スムーズに進めることができました。

Q.やはり、人間関係が大切ですね。復帰したときはどうでしたか?エピソードがあれば教えてください。

A.復帰後は上の子の保育園のお迎えがあるので、定時にチャイムがなったら真っ先に帰っていましたが、同僚からは、「須貝さんのおかげで、定時で帰るのが当たり前と、みんなの意識が変わってきた」と言われました。その後、私の後輩男性3人が全員、育休を取得したんです。

思考が変わると、行動が変わる

Q.影響力がすごいですね。男性が育児や家事をしてみると、その大変さがよくわかり、職場復帰してからも、仕事の進め方や段取りの仕方が変わった、という話をよく聞きます。家事育児の経験が仕事にも生きる、ということはありましたか?

A.確かにありますね。育児も家事も、突発的なことが起こる。子供のミルク、泣き出した、トイレなど。そうしたことに対応できるスキル、マルチタスクで進める力がつくと思います。実際にスキル上がったかどうかはわからないけれど、少なくとも経験値は上がったと感じます。

Q.男性が家事育児の経験をすることは、仕事に復帰したときにもその経験が仕事に生かされる、そうすると会社としても、仕事の質があがるということですね。それは会社的にも大きなメリットだと思います。

A.たとえば、保育園のお迎えがあるので、「残業をしない」ということをまず決めると、17時に帰るためには、何時までにこれをやって、あれをやって、と逆算してスケジュールを組みます。当時は本当に毎日毎日、どうやったら定時で帰れるか、を考え、工夫して仕事をしていました。

それまでは、とりあえず目の前にあるものを手当たり次第に、という感じで仕事をしていました。「絶対に定時で帰る」というのを決めると、仕事の仕方が変わりました。気持ち(思考)が変わるので、行動も変わったのだと思います。能力は変わらなくても、進め方を工夫する。私の例で言えば、上司の確認が必要な業務については、時間がかかる場合もあるので、先に投げておいて後で確認する、とか1人で完結できるものを最後に持ってきて、とか。順番を変えただけなんですが、優先順位を考え、やり方を変え、結果が大きく変わることに気づきました。

トップのメッセージが重要

Q.奈良市では、仲川市長が「男性の育休100%取得」と宣言しています。会社の環境改善のために、何かお考えはありますか?

A.素晴らしいと思います。他の自治体や民間でも、是非やってほしいです。企業に関しては、まずトップからのメッセージが最も重要だと思います。

Q.男性の育休推進は、ボウリングで言うと、センターピンだと言われています。これに取り組むことで、長時間労働の問題やダイバーシティの問題など、職場のあらゆるところに、どんどん広がっていきます。またいろいろ情報交換をさせていただけたと思います。本日は、ありがとうございました。