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男性の育児休業の好事例企業~有限会社ナイスケアサポート
有限会社ナイスケアサポート
奈良市中山町にあるナイスケアサポートでは、居宅介護支援事業(ケアマネジメント業務)、デイサービスをはじめとする介護保険サービス、さらにショートステイやサービス付き高齢者向け住宅と、介護に関するサービス全般を行っています。ご利用者だけでなく、ご家族、ケアマネージャー、職員、地域にお住まいの方の「誰もが安心して居られる居心地の良い場所」を目指しています。
一般的に、介護の事業所では人手不足が深刻で、「男性の育児休業」についてもハードルが高い、と考えられています。そんな中、育休をとられた、ケアマネージャーとして勤務されている入社12年目の福井伴宣さんにインタビューをさせていただきました。
子育て・孫育てという共同作業を通して得たもの
Q.育児休業取得のきっかけを教えてください。
A.当時の仕事は、デイサービスの主任でした。デイサービスとは介護認定を受けた方が出来る限り自立した生活を送れるように食事や入浴などの日常支援やレクリエーションなど身体機能向上のためのサービスを提供している施設です。
子どもが生まれるときに、自身も子どもと接したいという話を妻としていました。妻は、自営業でカウンセラーをしており、少しでも関わってくれたら助かる、ということだったので、会社に相談しました。当時、育休の制度があることは知っていたのですが、男性で取得する人は少ないと聞いていました。
Q.実際、育休をとったのは、どんなタイミングでしたか?
A.出産後3ヶ月してから、3ヶ月間取得しました。初めの3カ月は妻と妻のお母さん、次の3ヶ月で私と私の両親、その後はまた、妻と妻のお母さん、と交代でみてもらいました。妻の体は本調子ではなかったので、私がかかわることで妻はゆっくりできたと思うし、祖母も手伝ってくれて、皆にとって良かったと思います。
Q.実際、育休を取って育児をして、どのように感じましたか?
A.最初は戸惑いました。おむつを替えたり、ミルクをあげたり、何もかもが初めてで。両親に聞きながら、やり方を覚えました。特に睡眠時間の確保が、大変でしたが、家族との関係に変化がありました。特に、妻の両親との関わりが増えて、関係が良くなりました。子育て・孫育てを共に行い、大変さや、楽しさ、成長を通した喜びを共有することで、家族全体の人間関係がよくなったと思います。
子育てから学び、仕事に生かす
Q.育休の申出をしたとき、会社側の反応はどうでしたか?
A.社長と当時の部署の管理者、新しく配属された管理者と面談しました。三人とも、「この経験が、今後役に立つ」「子供との関係も良くなるのでいいと思う」と言ってくださいました。
Q.会社の理解があったのですね。御社では、育休取得を希望する社員は、100%取得されていると伺っています。また育休取得者には退職者もいない、とのことです。ただ実際に対応しようとすると、人の配置の問題などが出てくると思いますが、福井さんの場合は、どうでしたか?
A.育児休業に関して、基本的に会社の立場は、「介護という仕事は、子育てから学ぶことが実に多い」とし、「子育てに参加することで夫婦間の絆が深まるし、家庭関係が良好だと仕事への向き合い方にも良い面で変化が生じる」「自分の思い通りに仕事ができないジレンマ、限られた時間の中での調整や優先順位をどう考えるか、周囲から助けてもらうことの有難さ、そこから生まれる他者への思いやり、子育てから生まれる人を大切に想う気持ちなど、人間性を深めることに繋がる」ととらえています。
具体的な人の配置については、当社では男性社員に限らず、希望があれば、その都度社内で体制を作り、パート採用や他職場からの応援体制をとるといった対応をしていて、私の代わりは、他の部署の人がカバーしてくれました。
Q.育休中や復帰後に、会社の方々とは、どのようにコミュニケーションをされましたか?
A.育休中は、月1回の会議には参加していました。現場の状況を把握しておくと、復帰するときにスムーズにできるので、復帰後が、コミュニケーション自体に変わりはありませんでしたが、娘の話題を通して社員同士の会話が増えました。
育休中に社長に勧められ、資格を取得
Q,福井さんが、育休をきっかけにご自身の仕事にプラスになった、というようなことは、何かありますか?
A.ケアマネの資格は取っていましたが、介護福祉士は取っていませんでした。そこで、「空いた時間で勉強したらどう」と社長にお声かけ頂き、空いた時間に資格の勉強をして、研修に行かせてもらいました。
Q.育休中に、ですか?
A.育休中に少し勉強を開始して、育休が明けてからも継続しました。介護の資格には介護職員初任者研修過程終了(旧ヘルパー2級、初任者研修、実務者研修があり、それらがないと、介護福祉士の試験が受けられないのですが、実務者研修をそこで取らせてもらいました。
子の成長を目の当たりにする楽しさ
Q.今後、男性の職員で育休を検討される方へ伝えたいことはありますか?
A.やっぱり育児は大変ですけれど、楽しさもあるので、ゆっくり関わってもらえたらいいですね。子どもや家族とゆっくり関わる機会を持ってほしいので、ぜひ取ってほしいと思います。育児の楽しさは、子どもの成長を直接目の当たりにして実感できるということです。