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更新日:2019年11月7日更新 印刷ページ表示

面の画像

 日本の古楽面は、7世紀のはじめ推古天皇のころに、仏教とともに仏教美術の一つとして大陸から伝わったものです。その大部分は、奈良の社寺に宝蔵されています。
 最初は、伎楽とともに「伎楽面」が、伎楽にとってかわった舞楽(雅楽)の「舞楽面」、つづいて、仏像その他の信仰対象を寺外に持ち出して練り歩いて、広く一般大衆に功徳と法悦を与えるための行事、行道のときに使用する「行道面」が、伝来してきました。

 11世紀になると能楽や狂言の誕生とともに、日本独自の面が生まれました。
 これらのうち、主として舞楽・伎楽の古面を中心に模造して、鑑賞用として作られるようになったのは、近代になってからですが、とくに第二次世界大戦後、日本人が固有の古美術を考え直し、その貴重さに気づいてからは、単に奈良のみやげ品ではなく、室内装飾用の工芸品として、百貨店などでも扱われるようになりました。
 一方、奈良には、能・狂言にも使い得る木彫の面を制作する作家も活躍しています。