ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 分類でさがす > 産業・しごと・事業者向け > 企業立地 > 企業立地 > 企業立地 > Drupal関連企業インタビュー  (取材協力:デジタル庁)

本文

Drupal関連企業インタビュー  (取材協力:デジタル庁)

ページID:0260535 更新日:2026年4月28日更新 印刷ページ表示

デジタル庁はなぜDrupalを選んだのか?政府のウェブサイト改革の裏側と未来

デジタル庁<外部リンク>がウェブサイトの基盤として、オープンソースCMS(コンテンツ管理システム)「Drupal」を採用していることをご存じでしょうか。さらに、各府省庁での活用を想定した政府共通CMSにも、Drupalが採用されています。

政府機関のウェブサイトは、府省庁ごとに構築されており、それぞれのサイトでの利用者の体験はバラバラで、情報が分かりにくい、情報にたどり着きにくいとの課題を抱えていました。こうした中、デジタル庁では、利用者の利便性向上と担当者の負担軽減を目的に、政府ウェブサイトにおける情報発信力の向上及び品質の向上を図るため、共通化をはじめとした見直しを進めています。

「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化」をミッションに掲げるデジタル庁は、なぜ共通基盤としてDrupalを採用したのか。

日本の政府機関におけるウェブサイト構築について、デジタル庁の担当者である坂本氏、淡路氏に、その背景と今後の展望を伺いました。

※本記事は取材に基づくものであり、特定の取組や企業を推奨するものではありません。

 

なぜDrupalだったのか?セキュリティと将来の移行性を見据えた選択

デジタル庁1──まずは、CMSのベースとしてDrupalが選ばれた理由を教えてください。

CMS選定にあたっては、他のオープンソースCMSや、商用CMSも含めて比較検討しました。 デジタル庁としては、デジタル庁ウェブサイトをプロトタイプとして、将来的な他省庁への横展開を視野に入れていたことから、自由度の高いオープンソースの方が適していると考えました。また、オープンソースの中でも、特にDrupalは活発なコミュニティが存在しており、拡張モジュールの品質とセキュリティを適切に審査する体制が整っていると評価し、Drupalを選定しました。

──具体的には、どのような点を評価されたのでしょうか。

主に評価した点として、セキュリティ、拡張性、そして将来の移行性が挙げられます。 まずセキュリティの面では、コミュニティによって拡張モジュールが適切に管理・審査されている点を評価しました。第三者が開発したモジュールにも 一定のガバナンスが働いており、安心して利用できると考えました。 また、拡張性と自由度の高さも魅力でした。モジュールが豊富であることで、必要に応じて柔軟に機能追加がが行える点を重視しました。

さらに、将来の移行性も重要なポイントでした。将来的に別のシステムへ移行する場合でもコンテンツの再利用がしやすい点を評価しています。

これらを総合的に検討する中で、すでにオーストラリア政府など大規模なサイトにおける実績も後押しとなり、 運用面における安定性についても十分に担保できると判断しました。

 

実証事業から見えた活路―こども家庭庁サイト構築を例に

デジタル庁2

──Drupal導入後はどのような取り組みをされているのでしょうか。

デジタル庁ウェブサイトは、政府共通ウェブサイトのプロトタイプとしての側面もあり、将来的な他府省庁における活用を見据えていました。デジタル庁ウェブサイトのCMSとして構築したものを活用して、先ずは実証的に新しく発足することとなったこども家庭庁のウェブサイト構築を行いました。

当該実証においては、課題の洗い出しからサイト構築、コンテンツ移行や職員向けの運用トレーニングまで、デジタル庁の様々な人材が一体となって支援しました。特にコンテンツ移行は、厚生労働省や文部科学省 など複数の省庁に分散していた情報を集約する必要があり、大きな課題の一つでした。

 

──その大きな壁をどう乗り越えたのでしょうか。

過去の会議議事録のような今後更新の必要がない旧コンテンツについては、国立国会図書館のウェブサイト保存事業である「WARP (Web Archiving Project)」(※)を活用しました。具体的には、全てを新サイトへ移行するのではなく、WARPに保存されたアーカイブページのリンクを設置する形にしました。
これにより、必要な情報へのアクセスを確保しながら、移行作業の負担を抑えることができました。

(※)WARP (Web Archiving Project)
国立国会図書館によるインターネット資料収集保存事業。国の機関や地方公共団体などの公的機関を中心としたウェブサイトを収集・保存し、国立国会図書館内で閲覧できるようにしているほか、発信者の許諾が得られたものはインターネット上でも公開している。
https://warp.ndl.go.jp/<外部リンク>

 

アクセシビリティが基盤をつくる、AI時代を見据えた設計

──デジタル庁のCMS設計で重視されている考え方を教えてください。

デジタル庁のCMS設計で重視されている考え方を教えてください。

私たちが重視しているのは、省庁が出している正しい情報に、誰でもアクセスできるようにすることです。そのためには、アクセシビリティへの対応が重要な要素となります。具体的には、ウェブアクセシビリティの国際基準であるWCAG(ウェブコンテンツアクセシビリティガイドライン(※))の最新のものに対応することを目標にしています。なお、政府全体でいうと、総務省が策定している「みんなの公共サイト運用ガイドライン」において、JIS X 8341-3:2016における適合レベルAA準拠を目標としており、将来的なJISの改定も見据えた対応が求められています。

また、最近の傾向としては、スマートフォンなどからの閲覧数が、PCからの閲覧数を上回っているなど、ウェブサイトの閲覧環境が多様化していることもあり、画面サイズに応じて自動的に最適化される、いわゆるレスポンシブ対応を行い、どの環境でも情報が届くような設計を心がけています。

※WCAG(ウェブコンテンツアクセシビリティガイドライン)現在の最新基準はWCAG 2.2。既にISO/IEC国際標準として承認済みとなっており、今後JIS規格化される予定。

デジタル庁3

──今後のCMS運用の展望を教えてください。

昨今では、AIを通じて情報収集をする人が増えており、今後、一次ユーザーがAI中心になる可能性もあります。 WCAGのような国際的な基準に則ってウェブサイトを構築し、コンテンツを運用していくことが機械可読性を高めることにつながり、その結果として、AIも正確な情報を学習しやすくなるのではないかと考えています。 もっとも、AIがどのように学習しているかは我々にはわかりませんし、今後AIの発達によってどんな形の情報でも収集できるようになるかもしれません。

それでも、現時点では、見出し構造を正しく設計することや、代替テキストを付けること、情報を論理的に整理することなど、アクセシビリティを意識した設計を徹底することが、正確な情報を届けるための一つの方法だと考えています。

こうした取り組みを支えるうえでも、コンテンツを構造的に管理し、機械可読性やアクセシビリティに配慮した情報設計を実現できる点は、Drupalの強みの一つであると感じています。

 

<編集後記>

今回の取材では、Drupalが単なるCMSとしてではなく、セキュリティや拡張性、将来の運用までを見据えた、安定した情報発信の基盤として選ばれたことがうかがえました。

今後、AI時代を見据えた情報構造の設計や、長期的な運用を前提としたコンテンツ管理において、Drupalの強みはさらに重要性を増していくのではないでしょうか。

こうしたDrupalを活用した共通CMSの整備が、行政における情報発信の基盤を強化するだけでなく、情報の質や信頼性の向上につながることが期待されます。

 

取材日:令和8年1月
​取材:企業立地コンシェルジュ
​画像はDrupalConNARA登壇時のものを使用しています。

Adobe Reader<外部リンク>

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)