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奈良市には「企業」のイメージがあまり持たれていませんが、実は、全国に人気を博す優良企業があります。
奈良市に本社を構える2社の代表に奈良の印象や魅力を語っていただきました。
奈良はかつて、土地に住む人々の生活と異国の文化を融合して「日本文化」をつくり、イノベーショ
ンを成しえた土地です。
新しいものは、既存のものを組み合わせたり壊したりすることで生まれます。
「型の文化」である日本文化を「型破り」な視点で見てイノベーションを起こせるのも、 「知識の集
積地」である奈良ならでは。
また、イノベーションを起こすには適度に発想を広げられる場所も必要だと思います。
全くの山奥でもなく、超都会でもない、便利と隣りあわせにありながら自然も楽しめる場所。
しかも、建築物の高さ規制により、空が広いというのも特長です。
0から1を生み出すのに、奈良はちょうどいいんです。
もともと京都の南部に本社を構えていて、移転する際に京都か奈良で迷いました。
でも、ルーツを明確化するためにも、日本文化が始まった「イノベーション発祥の地」である奈良で次
のイノベーションを起こそうと思いました。
ご縁をいただいた、この趣ある瓦屋根の建物も気に入っています。
外から見る奈良は 「遠い」というイメージが先行しすぎています。
大阪に住む友人たちは口を揃えて「行くのに2時間以上はかかるやろ?」と言います。
まずはそのイメージを払拭したいですね。奈良から大阪は遠いと感じません。
外国人からすると東京も奈良も距離感は同じで、日本情緒がある奈良の方が好まれやすいと思います。
距離イメージも改善されていくといいですね。
正直なところ、奈良には足りないことや不便さもいっぱいあります。
しかし、不便さがあるからこそ「さて、どうする?」と考えはじめるのです。
便利さばかりを追求すれば奈良の良さが失われ、ありきたりな都市になってしまいます。
奈良には、急いでアップデートしてこなかったことで残っている「空気感」があります。
我が社にしても、やっていることは最先端のロボットづくりですが、社屋は瓦屋根の古風な建物です。
そのギャップに創造のタネがあるんです。
古さと新しさを融合できる場所なんて、ほとんどありません。
意図的に歴史を取り込むことができるのは、やっぱり奈良特有の魅力のひとつでしょうね。
●企業が語る奈良市の魅力(2) 株式会社中川政七商店 はこちら