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インタビュー( 株式会社SHIN-JIGEN/株式会社Thinker 代表取締役CEO 藤本 弘道さん)

ページID:[[open_page_id]] 更新日:2024年4月8日更新 印刷ページ表示

奈良は、日本の文化とイノベーションの原点

ロボティクスという最先端のジャンルに取り組む拠点として、奈良を選択した藤本さん。その決断の背景には、奈良という地が持つ独特の魅力と、そこで育まれるイノベーションへの深い信頼がありました。そんな藤本さんに、この地での事業運営に至った経緯、実感しているメリット、未来に向けた展望などについてお話を伺いました。

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<プロフィール>

大阪生まれ、奈良育ち。大阪大学大学院工学研究科原子力工学科修了。松下電器産業(現在のパナソニック)に入社後、社内ベンチャー制度を利用して株式会社ATOUN を創業。19年にわたってアシストスーツの開発および販売にたずさわったのち、2022年5月に株式会社SHIN-JIGEN を創業し、CEO に就任。ロボティクスの力を用いてより広い領域で人びとを助け、可能性をひらくべく、さまざまな事業に取り組んでいる。奈良女子大学客員教授、大阪工業大学客員教授も務める。

※オフィシャルホームページより転載。

 

私にとって、奈良はクリエイティビティの源泉のような場所

―――株式会社SHIN-JIGENという会社で、最新テクノロジーを駆使して人々の暮らしを支える商品開発を続けていらっしゃいますが、まずは奈良市に拠点を設けた理由からお聞かせください。

藤本さん:

藤本さんの写真

理由はいくつかあるのですが、一つは、私が幼い頃からずっと奈良で過ごしてきたことです。奈良での生活は私の成長に大きな影響を与えました。特に、3歳くらいから17歳までの期間に、私は自分のクリエイティブな感性やイノベーティブなものの味方が育まれたと感じています。その時期を奈良で過ごしたのは大きかったですね。奈良は私にとってクリエイティビティの源泉のような場所です。日本の文化の根源ともいえる土地であり、歴史的な背景は私たちの仕事においても重要な意味を持っています。奈良の静かで落ち着いた環境とゆったりとした時間の流れ、それでいて大阪や京都などの大都市圏に約35分でアクセスできる地の利も魅力の一つです。このような環境はイノベーションを生み出す上でとても重要な要素です。私たちのオフィスがある「ならやま研究パーク」のように、自然が豊かで落ち着いた環境はクリエイティビティを刺激してくれますから。研究開発と技術部門の拠点として最適ですし、奈良は地方都市の特性を生かしつつ、都市間のシナジーを生むのにも適していると考えています。

 

 

新しいアイデアを生み出すための良い環境を提供してくれる

―――実際に、奈良にオフィスを構えてからの事業展開や、取引先との関係などはいかがですか。

藤本さんの写真

藤本さん:

奈良市に拠点を置いたことで、多くのクライアントや関係者がこのオフィスを訪れてくれるようになりました。それに来社された方はみんな、奈良はクリエイティビティを高め、新しいアイデアを生み出したり、膨らませるのに最適な場所だと仰ってくださいます。未来を考えてつくっていく、私たちのプロジェクトにとって非常に重要な役割を果たしていますね。

 

 

―――オフィスを構える場所として検討されたのは、奈良だけだったのでしょうか。

藤本さん:

実は当初、京都と奈良で悩みました。京都も歴史がありますし、成熟したまちとしての魅力も感じます。でも、奈良はそれに加えて自然も豊かで、都会の便利さも手の届くところにある。何より、空が広い。このバランスが本当に絶妙で、0から1を生み出すクリエイティブな思考を刺激してくれるんです。だから奈良を選びました。奈良には、日々の生活の中にインスピレーションをもたらしてくれる、とても貴重な環境があるんです。

 

空が広くて“抜け感”があるから、圧迫感がなく思考にも広がりが生まれる 

―――拠点を奈良市に決めて、オフィスを開設されるまでの経緯を教えてください。

藤本さん:

藤本さんの写真もともとここは、三輪素麺の手延べ体験ができる場所だったのですが、ご縁があって建物を使わせてもらえることになりました。このエリアは、自然が多く、落ち着いた雰囲気で、とても気持ちが良いし、学研都市エリアとして環境がよく整ってもいます。それに、先ほどもお話ししたように、空が広くて“抜け感”があるから、圧迫感がなく思考にも広がりが生まれやすい。シリコンバレーに似た雰囲気とも言えるかもしれません。きっとイノベーションやクリエイティブな作業をする上で求められる環境は、世界共通なんでしょうね。でも、ちゃんと日本らしさもあって、桜や紅葉など四季を感じられる植物が植えられてもいます。そこは日本の良さを生かしていきたい私たちの個性にも通じるところです。​

 

 

業務の性質によって環境を分け、場所の特性を最大限に生かす  

―――藤本さんは、株式会社Thinkerというロボットハンド用センサーの開発販売を手がける企業も経営されていますが、そちらの拠点は大阪と奈良に置かれています。2つの拠点をどのように使い分けていらっしゃるのですか?

藤本さん:

Thinkerでは、研究部門と技術部門、さらにはコンサルティング関連の事業拠点も奈良市に置いています。考え事やじっくりとミーティングする必要がある仕事には、奈良の落ち着いた環境が最適なんです。一方で営業関連の事業拠点は大阪にあります。大阪はビジネスの中心地として活気があり、営業チームにとって刺激的な環境です。こうして2つの拠点を使い分けることで、各チームがそれぞれに良いパフォーマンスを発揮できるようにしています。業務の性質によって環境を分けて、それぞれの場所の特性を最大限に生かしているんです。

 

―――奈良市に拠点を置いたことが、事業にプラスに働いているんですね。

藤本さん:

藤本さんの写真

ええ、奈良市に拠点を設けたことは、私たちにとって正しい選択だったと思いますね。SHIN-JIGENという社名が示すように、私たちは「新しい次元」つまりは次の理想の実現を目指していますが、この地での生活と仕事は、それを描くのに適していると感じています。リモートワークの普及もあり、どこにいても仕事ができるようになりましたが、大都市で暮らすのはたしかに便利ではあっても、その中で失われているものもあります。これからは、より多くの人が地方の魅力に気づき、地方への移住や進出を考えるようになるんじゃないでしょうか。奈良市は、その先駆けとなる場所の一つだと感じています。

 

 

事業規模よりも、仕事の内容が奈良とどれだけ相性が良いかが大切  

―――奈良市に新たに拠点を置く、または奈良市に進出することを考えるとしたら、大企業よりも、中小企業やスタートアップ、個人事業主のスモールスタートのほうが適しているのでしょうか。

藤本さん:

奈良での事業展開には、会社のサイズ感はあまり関係ないと思います。大切なのは、どのような業種であるか、仕事の内容が奈良とどれだけ相性が良いか、です。とくに知的な作業やクリエイティブな仕事、そしてもの作りに関わる事業に、奈良はとても良い環境を提供してくれると思いますね。また、海外の研究機関などにとっても、奈良は魅力的な進出先となり得るのではないでしょうか。それに、奈良は日本の伝統や文化に触れられる場所ですから、日本で働きたい海外の人々や企業に親近感を持ってもらいやすい。そう考えると、奈良にいることで、海外からの人材も確保しやすくなるでしょうし、都市としての知名度も高いので、国際的な視野での事業展開にも有利なのではないかと思います。

 

奈良は私たちにとっての原点であり、いつでも帰ってこられる場所  

―――改めて、奈良市に拠点を設けてよかったと思っていらっしゃる点や、今後の事業展開について可能な範囲でお聞かせください。

藤本さん:

​くり返しになりますが、奈良は新しいアイデアやクリエイティビティを刺激してくれる、多くの人にとって魅力的な場所です。これは、事業を奈良で行う大きな利点の一つですね。打ち合わせなどで奈良に来るというだけでも、私たちのクライアントや事業パートナーは、何か新しいことを始めたいという気持ちが高まるようです。また、会社のメンバーももちろんそうで、新しいアイデアやソリューションが必要なときは、必ず奈良に集まります。私自身、大阪にいることも多いのですが、奈良に来ると、頭の動き方が変わるようで、全く違う種類のクリエイティブな仕事ができるようになるという実感があります。だから、今後も起業家として新たな企業を設立することを考えてはいますが、メインの拠点は奈良に置いて、さまざまなプロジェクトをこの地で生み出していきたいですね。ここは私たちにとっての原点であり、いつでも帰ってこられる場所なんです。

      藤本さんの写真                       

<取材後記>

藤本さんのお話から、奈良がどれほど多面的で豊かな文化を持つ地であるかが伝わってきました。特に、他都市と比較しながらなぜ奈良を選んだのかについての説明は、奈良市が持つ魅力とポテンシャルを再認識させてくれるものでした。奈良での仕事と生活から受けるインスピレーションとそこでしか味わえない経験が、これからの事業展開にどう影響していくのか、注目していきたいと思います。

 

取材日:令和5年11月
取材/撮影:世界文化社

 

 

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