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新型コロナウイルスの感染予防の第一歩は、その感染経路を知るところから始まります。
なぜなら感染経路を断つことができれば、うつることもうつすこともないからです。
最も重要なのは(1)飛沫感染、次いで(2)接触感染です。
またいわゆる3密(密閉・密集・密接)などの特殊な条件下では、一定時間、空気中に滞留した微粒子(エアロゾルやマイクロ飛沫等とも呼ばれます)を吸い込むことで(3)空気感染を起こす可能性もあります。
(坂本史衣先生の作図より)
なお、家庭内においては通常3密空間は生じにくいので、主に(1)、(2)によって同居者への感染が起こると考えられます。
家庭内での感染予防が難しい最大の理由は、このウイルスが無症状の時期(症状の出るおよそ2日前)から、ヒトへの感染性を有するためです。無症状の間は自らが感染していることに気づけないため、会話などで生じる飛沫を介して、次々と同居者にうつしてしまいます。したがって、まず何よりも家庭外での感染を防ぐことが、家庭内感染を予防するための鍵になると思われます。
3密を避けることはもちろんですが、少人数であっても、感染者とマスクをせずに近距離で話をすれば、飛沫を浴びたり吸い込んだりして感染してしまう可能性があります。
したがって、食事や会議などの席では、無防備に飛沫を浴びないように努めましょう。
特に、食事中はできるだけ会話を控えて、食べ終わってからお互いにマスクをつけて楽しむようにすれば、感染するリスクはかなり下がると思われます。
一方、接触感染を防ぐためには、石鹸と水による手洗いを20秒以上かけて行います。
また手洗いを行うタイミングとしては、帰宅後や、出社/退社時、食事の前、トイレの後などが挙げられます。特に、家庭内にウイルスを持ち込まないためにも、帰宅後は直ちに手洗いを行う習慣を身につけましょう!
なお正しい手洗い方法についてはこちらの動画(https://www.youtube.com/watch?v=v6ZY7KV69Ic&feature=youtu.be<外部リンク>(新型コロナウイルス感染症予防~正しい手洗い&咳エチケット~/奈良市))をご覧ください。
(1)家庭内に感染が疑われる人がいない場合
1)すぐに手洗い
家庭内にウイルスを持ち込まないために、帰宅したら真っ先に手を洗いましょう!
2)スマホをふきましょう
持ち物の中で一番汚れているのは携帯電話やスマホです。
家に帰ったら、除菌シートなどでしっかり拭くとよいでしょう。
(ただし機種により消毒方法が異なるので、各メーカーのホームページでご確認ください)
3)会話の際には、お互いにツバや飛沫を飛ばし合わないように気をつけましょう。
また、咳やくしゃみが出そうなときには「咳エチケット」(https://www.youtube.com/watch?v=v6ZY7KV69Ic&feature=youtu.be<外部リンク>(新型コロナウイルス感染症予防~正しい手洗い&咳エチケット~/奈良市))を忘れずに行いましょう。
4)トイレでは蓋を閉めてから、水を流すようにしましょう。
5)食事や調理の前、トイレの後など適切なタイミングで手洗い、またはアルコール消毒を行いましょう。
基本的に家の中には不特定多数の人たちが触れる場所はありませんので、家庭内に感染が疑われる人がいなければ、そこまで消毒にこだわる必要はありません。
万が一、環境表面にウイルスが存在していて手に付着したとしても、その手で目、鼻、口に触らなければ感染は起こりませんのでご安心ください。
環境の消毒よりも、手洗い/手指消毒や定期的な換気を優先させましょう!
(2)家庭内に感染が疑われる人がいる場合
発熱や咳が出ているなど、家庭内に新型コロナ感染が疑われる人がいる場合の対応についてはこちら(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000601721.pdf<外部リンク>(ご家族に新型コロナウイルス感染が疑われる場合家庭内でご注意いただきたいこと~8つのポイント~/厚生労働省))をご参照ください。
中でも、症状のある方とない方とで部屋を分けて生活する、別々で食事を摂る、タオル等の共有を避ける、家族全員がマスクを着用する(ただし2歳以下は例外)、定期的な換気を行うことなどは、家庭内感染を予防する上で極めて効果的であると思われます。
新型コロナウイルスの家庭内感染を100%防ぐことはできませんが、リスクを大幅に下げることは可能です。まず可能なら疑い患者さんとは部屋を別々にして、お互いの接触時間を減らすように心掛けましょう。次に飛沫感染が主となるため、疑い患者のみならず、できる限り家族全員がマスクを着用しましょう。最後に接触感染を防ぐために、帰宅後や食事の前、トイレの後など適切なタイミングで手洗い・アルコール消毒を忘れずに行いましょう。
新型コロナウイルスがいつ収束するのかはまだわかりませんが、一人ひとりが有効かつ持続可能な対策を行っていくことが大切だと考えます。