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トピックス(学識経験者等のコメント)

更新日:2010年2月25日更新 印刷ページ表示

あなたの安心

食料(備蓄食料)を用意するとき、どんな点に注意すればいいのか

  • 賞味期限をできるだけそろえる。(ランニングストック)
  • 家族それぞれの好きなものをそろえる。
    特に震災初日は、気持ちがとても落ち込む。そんなとき、お菓子でもフルーツ缶詰でも、大好物が一品あれば気が晴れる。ストレスを減らすのは、災害を乗り切るポイントです
  • 備蓄品の買出しは妻や母任せにせず、家族そろって行ってほしい。身を守るのは自分自身という意識の徹底にもつながります。

奥田和子 甲南女子大名誉教授

(2007年7月26日朝日新聞)

備蓄食料のイメージ

地震災害とクラッシュシンドローム(挫減症候群)

  • クラッシュシンドロームは家の下敷きになるなどして筋肉が圧迫され、救出後に毒素が全身に回り腎臓に障害が残る症状で、知らずに放置すると命にかかわります。
  • クラッシュシンドロームは初期には血圧も脈も正常、意識もはっきりとしており重症患者のようには見えませんが、その後急速に腎不全に至り致命傷となることから、いかに早くこれを見つけだし、透析、外科的処置などの適切な処置が行える施設へ転送することが救命につながります。

金井 洋 熱海所記念病院副院長

(2004年年11月18日ひまわり)

地震災害のイメージ

緊急地震速報の実効性検証

2008年6月14日に起きた岩手・宮城内陸地震は、気象庁が一般向けに発表する緊急地震速報の「実効性」を検証できた初めての地震となった。東北大学災害制御研究センターの今村文彦教授は「直下型地震でも、きちんと機能すれば緊急地震速報が有効であることが分かった。工場や病院、交通機関などで、人の判断を挟まずに自動的に作動するシステムは非常に有効。震源直近で速報が揺れに間に合わない場合でも、被害を食い止める効果はある」と分析された。

(2008年7月28日産経新聞)

「緊急地震速報」をご存知ですか?

就寝中も命守る状況を

「深夜の地震は昼間に起きる地震と、大きく3つの違いがある。寝入りばなでとっさの反応が遅れて迅速な対応ができないこと、真っ暗なため被災者も行政も被害の状況がつかめないこと、そして行政やコミュニティーもすぐには救助や支援がしづらいことだ。このため、昼間の地震より危険性が高いといえる。
大前提として住宅の耐震補強が必要。就寝中に家が壊れれば、圧死が多かった阪神大震災の二の舞になる。
室内では、寝室に大きな家具を置かないか転倒防止を図っておくことがまず大切だ。睡眠中で何もできなくても命だけは守れる状況を作っておかないといけない。そして、枕元に携帯電話や懐中電灯、スリッパと言った緊急時に使えるものを常備しておくのがよい。家が倒壊しても、携帯電話や呼び笛で居場所を知らせる手段を確保しておくことが命を守ることになる」

室崎益輝 関西学院大学教授

住宅の耐震補強

つねに「笛」を携行していることの意味

地震への備えの基本は、何よりもまず命を守ることです。
そのためにいちばん大事なのは家が壊れないこと。その次は家具が倒れないことです。でも万がいち家が倒壊してしまったり、何かにはさまれて動けないときなどに役に立つのが笛です。
たとえば倒壊した家の中はホコリだらけで大きな声を出せません。あるいは大きな声が出せたとしても、それを1時間も続けるのはとても大変なんですね。
そうしたときでも、笛なら、少しの息で大きな音が出せるんです。ですから地震災害のときだけじゃなく、防犯上も有効です。
私が持っている笛は、中に小さなカードが入っていて、私の名前や緊急連絡先、血液型が書かれています。大きな災害が発生すると、緊急時には医療の力が足りなくなります。
そのときに血液型がわかるということは緊急処置には大事なことなんです。

福和伸夫 名古屋大学大学院教授

(地震防災博士の「基礎講座」より)

笛なら、少しの息で大きな音が出せるんです。

乳幼児のいる家庭の防災の備え

非常時に小さなお子さんを抱えての避難は困難です。
ミルクや、おむつ、母乳で育てている方であっても万が一に備え哺乳瓶などの準備も必要です。
小さなお子さんのいらっしゃる家庭では、どのような防災準備が必要でしょうか。

【乳幼児のいる家庭の防災用具】
 乳幼児を持つ家庭では避難する際に、おむつ、ミルク、哺乳瓶(使い捨てタイプ)、カセットコンロ、また頭や足を保護する帽子や靴などが必要です。
 避難の際、意外と忘れられるのがお尻拭きです。おんぶや抱っこで逃げる為に靴を忘れるケースが多く、また、おむつは持ってもお尻拭きを忘れ、かぶれ症状をおこしてしまう赤ちゃんも被災地では見られました。このため、ガーゼさらし(さらしはおんぶ紐にも代用出来ます)を多めに備えておくと良いでしょう。

【デリケートな赤ちゃんの体を守る】
 赤ちゃんの体はとてもデリケートです。清潔に保たなければ皮膚も炎症を起こしやすく、また、ミルクに使う水でお腹を壊してしまう事もあります。
 この為、ミネラルウォーターなどの飲み水とは別に不純物をほとんど含まない蒸留水も準備しておきましょう。市販されている調整粉乳、粉ミルクにはミネラル分が含まれており、ミネラル水でミルクを与えては過度のミネラル摂取が腎臓に負担をかけ、脱水症状を起こす場合もあるので充分に気をつけましょう。

【乳幼児の心のケア】
 避難生活は大人も大変ですが小さい子供にとっては 更に大変です。
 環境が変わる上に余震などの恐怖から夜泣きやおねしょをする子もいます。そんな時に、子供の心を癒してくれるお気に入りの絵本やオモチャ、縫いぐるみがあればストレスもだいぶ軽減されます。
 事態が落ち着いてから少し家に戻れる、車で避難できるといった状況であればオモチャや絵本、お絵かき道具をすぐ持ち出せるように準備しておくのも大変良いでしょう。

(防災ナビ「防災の心構え」より)

小さなお子さんのいる家庭のイメージ

地震考古学

プレートの運動によって形成された日本列島には、多くの活断層が分布しています。この国に住む限り、大地の激しい揺れから逃れることができないでしょう。それでも、地震の被害は、その場所ごとの地形や地質によって異なりますから、自分の住む地域で過去に発生した地震をよく知っておくことが、将来の地震から我が身を守り、被害を少なくすることにつながります。
幸いなことに、日本では、過去千数百年におよぶ膨大な文字記録があり、この間に起きた地震の年月日や被害を知ることができます、また、全国各地で行われている考古学の遺跡発掘調査で見つかった地震の痕跡から、具体的な地盤災害や、記録にない地震の存在がわかります。文字記録と地震痕跡という2種類の資料が、これほど充実した国土は、世界でも例が無いでしょう。
これに加えて、最近では活断層の研究が著しい進歩を遂げています。
地震そのものは岩盤の破壊にともなう自然現象ですが、大きな地震のたびに、様々な悲劇や人間ドラマが生じます。それぞれの時代の地震が、当時の人々にどんな運命を与えたかを知ることは、地震への理解を血の通ったものにするでしょう。また、地震による社会への影響を考えることは、日本の歴史に対する理解を深めるでしょう。

寒川 旭 産業技術総合研究所理学博士

活断層

災害発生直後の対応

災害が発生した場合、規模が大きくなればなるほどケガ人も多くなることが予想されます。しかし、道路や鉄道の寸断など交通網の混乱も大きくなるため、消防車や救急車のスムーズな到着は期待できません。
ですから、災害が発生した場合、近隣の住民や周辺企業に勤務する人と一体となって、相互の協力のもとに災害に対処することが活動のポイントとなります。
つまり災害発生直後は、ほかの地域から駆けつけるボランティアではなく、被災地域の人が自ら中心となって、災害への対応やボランティア活動を行う形になります。
災害発生直後は、周りの人と協力しながら適切な火災予防と初期消火活動を行うとともに、お互いに声を掛け合い、家具の下敷きになって動けなくなった人などの救助にも努めます。
なお、被災者への人命救助は、救助に向かった人が二次災害に巻き込まれてしまう可能性があるため、あくまで自らの安全を確保しながら、できる範囲ですることが大切です。
また、避難所でも助け合うことが重要です。食料や飲料を分かち合うことはもちろん、住民のボランティアが中心となり、お互いに協力しあって炊き出しを行います。
また、住民のボランティアは、ケガ人の手当てや高齢者、障害を持つ人、妊婦への援助とともに、家族や隣近所の人の安否情報の収集や正確な情報の伝達などにも努めます。

(NHK ボランティアネットより)

住民のボランティアが中心になります

震災の教訓を生かすために作られた「クロスロード」

クロスロードとは、阪神・淡路大震災で、災害対応にあたった神戸市職員へのインタビューをもとに作成された、カードゲーム形式の防災教材。「大都市大震災軽減化特別プロジェクト」(文部科学省)の一環として、矢守克也氏(京都大学防災研究所准教授)、吉川肇子氏(慶應義塾大学商学部准教授)、網代剛氏(ゲームデザイナー)によって開発された。
クロスロードの問題カードには、「3,000人いる避難所で、2,000食を確保した。この食糧を配るか配らないか」など、どちらを選んでも何らかの犠牲を払わなければならないような「ジレンマ」が多数ある。
プレイヤーは、自分なりの理由を考え、苦心の末に「Yes」か「No」か、一つだけを選び、自分の前にカードを裏返して置く。合図で一斉にオープンし、多数派の人は、青座布団を獲得できる。一人だけの人がいる場合、その人は金座布団を獲得し、他のプレイヤーは何ももらえない。座布団の配当を終えたら、問題を全員で話し合ってみよう。
その人が「Yes」または「No」を選んだ理由を聞くことで、多くの価値観や視点に出会うことができる。
10枚のカードを終えたときに、一番多くの座布団を持っていた人が勝ちとなる。その場に座布団がない場合は、お菓子で代用することも可能。
また、自主防災会などでは、地域独自の問題を作ってプレイするのもためになるだろう。
クロスロードは、災害を自分の身に引き寄せて考えると同時に、他者のさまざまな考えを知ることができる、優れたゲームである。

(内閣府広報「ぼうさい」11月号より)

クロスロード

危険を先読みできるのが「DIG」 大切なのは「気づき」「考え」「話し合う」こと 被害の出方は地域の力によって異なる

防災を考える上で出発点となるのは、地域の災害リスクを知ること、伝えることです。行政からの情報もありますが、昔からの地域の住民だからこそ知っている災害の歴史や災害とともに暮らす知恵もあるでしょう。被害の予想は、たとえ専門知識がなくても、かなりの精度で先読みができるはずです。先読みができれば、実際に災害が起こったときのことを議論するのではなく、「そのような事態に陥ることのないよう、ああもしよう、こうもしよう」と言えるでしょう。
「DIG」は、地域の災害や被害の危険性を「見える化」することによる「気づきのツール」であり「コミュニケーション・ツール」です。大きな地図をみんなで囲みながら、地域をどのように変えていけばよいのかを考えてもらうための計画作りと言えます。初期消火、応急救護、炊き出しなどの避難訓練は、被害の拡大を防ぐことはできますが、命や財産を守ることはできません。実際、阪神・淡路大震災では、ほとんどの犠牲者が建物の倒壊や家具の転倒や落下による即死とされています。災害後の事後対策も必要ですが、それだけでは人の命は救えないのです。
地震や津波など自然現象は一様に襲いかかりますが、被害の出方は個人や家族、コミュニティの力の差によって大きく異なります。建物の立地や構造にも左右されます。自然の猛威も、地域の防災力でカバーできれば、単なる自然現象にすぎないのです。
何に気づき、それに対して何をすればいいか? それを考えるのが、本来の防災ではないでしょうか。

小村隆史 富士常葉大学環境防災学部准教授

(内閣府広報「ぼうさい」11月号より)

DIG

なぜ、日本はこんなに地震が多い?あした起きてもおかしくない大地震

日本の中で「大丈夫」と断言できる場所はない
日本は、世界でも稀に見る地震の多い国と言ってよいでしょう。地震とは、そもそも地下の弱いところが一気にずれる現象で、プレート(岩盤)とプレートの境目で多く発生します。日本列島が位置する環太平洋は、ちょうどこのプレートの境目に当たり、さまざまなプレートが重なる掃き溜めのようなところなので、あちこちにほころびが生じやすいのです。
地震には「海溝型地震」と「直下型地震」の2種類があります。海溝型地震とは、海溝に沈み込む海のプレートが陸のプレートを引きずり込もうとする時、陸のプレートが元に戻ろうとする力によって発生する地震のこと。大正12(1923)年の関東大地震や、現在心配されている東海地震、東南海(とうなんかい)地震も、このタイプだと考えられます。この地域では、マグニチュード8程度の地震が100年から150年の間隔で起きています。前回の安政東海地震から 150年過ぎていることから、静岡県西部、駿河湾一帯の東海地震はいつ起きてもおかしくないと言ってよいでしょう。
一方、内陸部でプレートの内部がひずみ、限界に達すると壊れて断層ができます。これが私たちの足元で起きるものを直下型地震と言います。平成7年の阪神・淡路大震災はこのタイプの地震が起こしました。
断層の中でも今後もずれて、大地震を起こす断層を活断層と言います。どの場所でいつ地震が起きるのか、予測するのは困難ですが、活断層があるかどうかが一つの目安となります。もちろん活断層がない地域が安全だとは言い切れません。大地震が地面に残した傷跡は、ある程度の時間が経てば消えてしまいますが、同じ場所で地震が起こるので、消えるより早く地震が繰り返すと傷跡が残っていきます。これが活断層です。「ここには明らかにある」と簡単に言えますが、「ここには絶対にない」とは言えないので、地道に調査するしかありません。
我々は、分かることについては答えられますが、分からないことについては断言できません。例えば、東海地震、東南海地震などが起こるだろうと予測はできますが、それ以外の場所については安心だということは絶対に言えません。日本全国どこでも、ここは大丈夫という場所はないのです。
最近日本では、岩手・宮城内陸地震や新潟県中越沖地震など、地震が続いていますが、それでも比較的平和な時代だと言えるでしょう。実はこの先、大きな地震が、「かため打ち」で起きる可能性があるのです。たまたま今は間が空いている時期に過ぎないのですが、その間に一生を過ごせたら、その人は幸運だと言えます。まさに、大地震は今日起きてもおかしくないのです。

東京大学地震研究所地球流動破壊部門
島崎邦彦教授

(内閣府広報「ぼうさい」9月号より)

地震の確率と主要活断層帯

「もしも」に備えて日頃から、私たちができることは?

日頃から「今ここで地震が起きたら」と周りを見回し、そこにある危険からどのように身を守る行動をすべきか考える習慣をつけましょう。ガラス、タイル、照明器具、展示品など、落下転倒物の有無、非常出口の場所などを確認しておくことが生死を分ける大きな差となります。

阪神・淡路大震災では発災後15分以内に死者の9割以上の方が家屋や家具の倒壊により亡くなりました。体重の4倍荷重で、胸部を圧迫されると多くの人が10分以内に死亡するという調査報告もあり、自宅や外出先で、自身の体重の4倍に値するものに注視することが重要だと分かります。自動販売機、ATM、冷蔵庫、コピー機など、それぞれの重さ、動き方を考えて、自分にどういう被害を与えるのかをイメージし、家具固定などをすれば、未然にケガなどを防ぐことができます。

実際に災害に遭ったときにはバッグや厚手の雑誌で頭を守るなど機転をきかせて身近にあるもので困難を乗り切りましょう。携帯電話は通信手段以外にも停電時に画面から発する光を利用して懐中電灯代わりに、生き埋めになったら着信音を笛代わりに、保存画像は救援を待つまでの心の支えになります。

もちろん、イメージした被災状況をもとに普段から災害に役立つものをかばんの中に入れておくことも必要です。めがねや常備薬、差し歯など、自分が必要なもので、第三者が調達してくれないものがあります。薬は、処方されたままではなくピルケースに分ければかさばりません。

また、家族などとの安否確認ができるよう連絡方法と待ち合わせ場所を決めておきましょう。ひとり暮らしの人は、近所の友人や同僚と、お互いの安否を確認し合うようにしておくと、倒壊した家屋に閉じ込められた際、「誰にも気づかれない」ことを防げます。

せっかく自宅で助かったとしても、避難所に行く道のりで二次災害に遭遇するかもしれません。推奨されている経路でも、自分の家族にとっては安全ではないこともあります。家族全員で体験し、情報共有することが命を守ります。

危機管理アドバイザー 国崎 信江

(内閣府広報「ぼうさい」1月号より)

地震後の写真

守りたい命が弱ければいざというとき何とかなるではすみません

自分のこととして降りかかる危機に対しての対処を考えるとき、それぞれの家庭において人数・男女別・年齢別の家族構成や住環境、生活習慣が異なるのですから、防災対策も各家庭において異なるという点に気づいたことは、当然といえば当然のことです。
しかしこれまでの私は区から配布された防災対策の冊子を読んだだけで満足していたのです。
わかりやすく説明しますと、生後5ヶ月の赤ちゃんと3歳の子どもがいた場合、荷物の重さに気をつけなければなりません。
区の冊子では荷物の目安は女性で10kgでしたが、この通り荷造りをしたら、子どもの合計体重が20kgなので合計30kgの負担が体にかかるのです。
平坦ではない避難所までの距離・自分の体力や子どもの体重を考慮しながら荷造りをしないと、いくら入念に用意しても実際には重くて持ち出しを断念しなくてはなりません。

集合住宅に住んでいたころはベランダに非常時の救難ハッチが設置されていました。
独身のときなら、このハッチが設置されているだけで心強く感じたかもしれません。
けれど子どもが2人いたら3つの体が同時に救難ハッチの間口に収まるはずもなく、どちらの子どもを先に下ろすのか、という究極の選択を迫られます。
子どもを抱っこしながら、足元の見えない状況で慣れない梯子を降りるのは恐ろしいものです。
さらに最初に下ろした子どもを誰に預けるのか、上に残した子どもを救い出すのに次々と人が降りてくる梯子を遡っていくことができるのかなど様々な問題が降りかかります。
独身のときには地震がきたらどうにかなると考えていたこともありましたが、守りたい命が弱くて多いほどしっかり準備をしなくてはどうにもならないということに気づいたのです。
家族が同時に安全に避難するための方法を考えるように、ひとつひとつ防災対策を見直したのです。

危機管理アドバイザー 国崎 信江

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間違いだらけの防災対策 地震の本当の怖さを知っていますか

火災が起こらなければ犠牲者は減ったのか

 兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)直後の被災地の映像として、街のいたるところで火災が発生し、大規模な延焼火災が起こっている様子が映し出されることが多いので、この地震による死者の多くは火災による犠牲者だと思っている人がいますが、これは間違いです。

 兵庫県の監察医のみなさんがまとめた、地震から2週間以内に神戸市内で亡くなられた人々(3875名のなかで詳細な分析の行なわれた3651名)の死亡原因の調査結果をみると、圧倒的に多いのは呼吸ができなくなって亡くなった「窒息死」で全体の53.9パーセント、次が、多臓器不全などにつながる「圧死」で12.4パーセント、その他を含め、建物もしくは家具が原因による犠牲者が全体の83.3パーセントを占めます。残りの16.7パーセントの犠牲者の9割以上を占める15.4パーセントの犠牲者は、火災現場で発見されています。そしてその約8割に当たる12.2パーセントの人たちは、生きている状態で火事に襲われたことがわかっています。では、なぜ生きていたのに、火事から逃げることができなかったのでしょうか?

 その理由は明解です。彼らのほとんどは被災した建物の下敷きになって逃げ出せない状況だったのです。建物に問題がなければ、彼らは火事が襲ってくる前に逃げ出せるので、焼死しなくてすんだのです。つまり焼死した犠牲者の原因にはまず建物の問題があったということです。

 以上の話から、建物の問題(一部家具含む)を原因として亡くなった犠牲者の割合は、83.3パーセントと12.2パーセントを合わせた実に95.5パーセントにも達することがわかります。

地震対策で最優先すべきこと

 地震対策で最も優先すべきものは何でしょうか。地震後の火災による焼死者の問題、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの心理的な問題、地域コミュニティ崩壊の問題、避難所・仮設住宅の問題、瓦礫やごみとその処理による環境への問題、地域経済の衰退の問題など、いろいろな問題が兵庫県南部地震の後に指摘されました。もちろんこれらは問題として発現したのですから、それに対応する対策は対症療法としては進めるべきです。しかし、これらに対応する対策を個別に推し進めていっても、本質的な問題解決にはつながらないのです。

 これらの問題がなぜ起こったかというと、地震直後に25万棟の家が全半壊し、約5500人の人たちが亡くなってしまったことが最大の原因です。これが、緊急対応期から、復旧・復興期までに発現したさまざまな問題の本質的な原因だったことを私たちはもっと深く認識すべきです。

 これまでの話からわかるように、近い将来に大きな地震を繰り返し受ける可能性の高い日本が考えなければいけないのは、建物の耐震化を最重要視した対策です。

 地震で亡くなってしまう人の数を減らすことが地震防災の最重要課題だとすれば、既存の弱い建物や施設の補修や補強、建て替えが最も優先順位の高い課題です。この点を常に強調していかないと、私たちはまた確実に同じ悲惨な状況に直面してしまいます。地震の時に亡くなった人を「地震の犠牲者」と呼ぶことが多いのですが、彼らは地震で亡くなっているのではありません。構造物が彼らを傷つけ、殺しているのです。

 耐震性の高い施設や構造物の建設にはそれなりのコストがかかります(とはいっても、設備を含めた全体経費からみれば少額の予算で耐震性は大幅に向上します)が、見てくれや経済性にばかり気をとられ耐震性への配慮を怠ると、自分の生命、家族や家庭が崩壊しかねない悲惨な状況を生んでしまうことを自覚して下さい。そしてこれらの大切なものは、いずれも代替のきかないものである点を認識していただくことが大切です。

東京大学生産技術研究所
都市基盤安全工学国際研究センター長
目黒公郎

(内閣府広報「ぼうさい」平成21年11月号より)地震火災のイメージ


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