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奈良しみんだより平成28年10月号(テキスト版)2~5ページ 特集「生まれてきてよかった」をすべての子どもたちに

「生まれてきてよかった」をすべての子どもたちに

 子どもたちが家庭的な環境で豊かな生活体験を積むために「里親制度」という選択肢があります。
「46,000人」全国の家庭で暮らせない子どもたちの人数です。
6,000人が里親家庭で暮らし、40,000人は施設で暮らしています。

子どもたちをめぐる状況

平成28年6月に児童福祉法が改正され、家庭で暮らせない子どもたちを、家庭的な環境で養育することを積極的に推し進める方針が決まりました。しかし、現在ほとんどの子どもたちが児童養護施設で暮らしているのが現状で、日本は諸外国に比べ里親委託率が低い状況にあります。

里親という選択

保護者の養育を受けていない子どもたちは社会的に養護することが必要で、その大部分を施設が担い、専門性の高い複数の職員により子どもの成長を見守っています。また里親家庭では、幼少期に必要な特定の大人との愛着関係を築くために、家庭に近い環境で子どもを養育しています。里親にはいくつかの種類があり、よく知られているのが養子縁組をして養子として育てる「養子縁組里親」です。それ以外に、一定期間養育する「養育里親」という制度があり、その中には、「週末・季節里親」といった一時的に子どもたちを預かる里親もあります。親権は実親の元に残したまま、実際の生活は里親とともに過ごします。

奈良市の現状

奈良県は他府県(近畿圏内)の里親委託の割合と比べると高いですが、市は委託されている里親が3組と少なく、身近に里親がいない状況です。(図(2)(3))いつか隣の家が、子どもの学校の同級生が里親家庭になるかもしれません。そのときに自然に迎え入れることのできるまちをめざします。

インタビュー

岩朝しのぶさん(日本こども支援協会代表理事)

岩朝しのぶさん
自身も不妊治療の末、最終的には里親になることを決断。現在は養育里親として小学生を育てている。NPO法人「日本こども支援協会」代表理事。同会は奈良市高天町に活動拠点を置き、里親制度の啓発や里親への支援、相談を行っている。

親の存在は心の「基地」

私自身が里親になる過程で、里親を必要としている子ども達がたくさんいることを知り、なんとか解決をしたいという思いで、今の仕事をしています。子どもは家庭で育つのが一番良いという思いは揺らぎません。「最後は親が守ってくれる」という安心感、いわば心の「基地」が子どもには大切だと思っています。すべての子どもにこの心の「基地」を培うことができる大切な時間を増やしてあげたい、その一心です。

里親が里親を支える現状

里親のところに里子が迎え入れられてそれでゴールではありません。それがスタートです。そこから子育てはもちろん、信頼関係を作っていくこと、もし心に傷を負った子どもならそのケアなど、すべてがスタートなのに、里親が相談できる場所が非常に少ないのが現状です。里親同士が自身の課題を抱えながらネットワークを作り、何とか支えあっている状態です。社会全体で里親を支える基盤が必要です。里子は時に「試し行動」などとも呼ばれる荒れた行動を起こすことがあります。実際に私の子も、何をするにも「イヤ」と言って聞かないことがありました。世間で言う「イヤイヤ期」は過ぎているはずなのに、なぜそんな行動をしてしまうのか、理解ができないと里親自身が途方に暮れ、孤立してしまい里子との関係を解除するなどの結末に至ってしまうケースも少なくありません。「里親を増やすこと」ではなく「里親を支援し、質の高い里親を増やすこと」が必要だと感じています。

「生まれてすぐに里親へ」の重要性

特に力を入れたいと考えているのが、「生まれてすぐに里親に預けられるようにマッチングしていく」ことです。育てられないと分かっていて妊娠しているお母さんにはぜひそのような取り組みがあることを知ってもらいたい。生まれてすぐに里親家庭に迎えられれば、信頼関係は一から構築され、親への愛着の欠如を食い止めることにもつながります。「生まれたら施設に預けるのではなく里親に預ける」この流れが主流になっていけばと思います。

伝わる親心

養育里親は親権が実親のままなので、実親の元へ帰さなければならないという可能性を常に含んでいます。よく「帰すのが辛い」という相談も受けますが、それは親心が湧いているということ、里親の最大の成果だとも言えます。深い親心に包まれて育ったその感覚が間違いなく子どもの心に刷り込まれています。その子が親になったとき、子育てのモデルになるのは自分が育てられた経験です。子育てのやり方が、そしてその親心が受け継がれていくということ、これはとても尊く、社会全体に必要な連鎖でもあります。

「里親をやってよかった」

今回お話しした内容だと、少し里親へのハードルが上がってしまったかもしれません。しかし実子を育てる場合でも同じだと思いますが、子育てをしていると自分自身が成長します。子どもの成長を目の当たりにし、信頼関係が築かれていくのが分かって幸せを感じる瞬間がたくさんあります。「里親は大変」里親経験者に聞けばみなさんそうおっしゃいます。でも「里親をやらなければよかったですか?」という問いにみなさん口を揃えて「里親をやってよかった」と答えるのは、その「幸せ」を感じていらっしゃるからではないでしょうか。


日本こども支援協会
(高天町30-1-201) 電話番号:0742・27・6266 Eメール:toiawase@npojcsa.com

 

ふたりの里親さんの声

◆不治療の末、里親になることを決断   50代夫婦

「大人だけの家族では考えられないにぎやかな生活」
子どもが欲しくて不妊治療をしていましたが、里親制度のことをテレビで知り、結局不妊治療はやめ、養育里親になりました。子どもが2歳手前の時です。わりとすんなりと懐いてくれ、我が家での生活にも慣れてくれました。それからしばらくして2人目の里子を、生まれた直後から預かり、2人目は特別養子縁組をしています。2人の子どもとにぎやかな生活を送っています。養育里親は家庭的な養育をしながら、また実親のところに戻った時にうまく過ごせるように育てるという役目もあります。今はそんなことを考えるとさびしくなってしまいますが、意識はしながら過ごしています。

「子どもたちといると母性が湧き上がってくるんです」
里親同士の交流会などにも参加しています。高校生が巣立っていけるように里親としてサポートするという方、週末だけという方、実子の子育てが終わって里親になる方など、みなさんそれぞれです。いろいろな考え方を知って勉強になります。里親をしていることは周囲にも本人にもオープンにしているので、地域にも見守られながら、子どもものびのびと暮らしてくれています。子どもの笑顔や成長に触れて、幸せを感じる毎日です。子どもができないなら、里親も大きな選択肢の一つです。少子化と言われながらも、養育が必要なのに親元で暮らせない子どもの数は増えています。このような時代に、子どもが欲しくてもできない大人と親を必要とする子どもの出会いもとても尊い出会いの一つだと、里親になってみて実感しています。実子でなくとも、子どもたちと一緒にいると、自然と母性が湧き上がってきます。


◆子育てを終え養育里親に   50代夫婦

「親のいない子どものために何か手助けしたい」
5年前の東日本大震災で、親を亡くした子どもがたくさんいることを知りました。それまで里親への関心はあまりありませんでしたが、子育てがひと段落していたことと、震災で親を亡くした子どもたちを救いたい気持ちが高まったことで、里親登録の申請をすることにしました。里子が我が家にやってきたのは、登録から1年後でした。最初は1~2年の予定で迎え入れましたが、実親の生活状況が整いきらず、子どももこの地域での生活に慣れていたこともあり、小学校に上がった今も我が家で育てています。子どもは私のことを「おばちゃん」と呼びます。親戚の子を預かっているような感覚でもあり、周囲にもとまどいを与えないという点で、これで良かったと思っています。いつか実親の元に戻る時が来ても、我が家が「帰って来る場所」、「心のよりどころ」になればいいと考えています。

「里子がいることで、一家団欒が増えた」
里子を家族に迎え入れてからは今まで以上に家族の会話が増え、絆が深まったように感じます。もう成人している息子から「お母さんに何かあってもかわりに僕が育てるから」という言葉をかけられた時は計り知れない力をもらったことを覚えています。不安もありましたが、息子たちが里子を快く受け入れてくれていることが分かり、里親になって本当に良かったと感じています。里親をしてみようかと考えている人には、まずは講習を受けてみてほしいと思います。講演会やテレビ等の情報とは違う、リアルな話が胸に響きます。いろいろな生き方や考え方に触れることができ、私自身も参加してみて驚きや今までの子育てへの反省などがたくさんありました。いろいろ知ってから判断すればいいし、自分の生活の幅も広がると思います。

 

インタビュー 奈良県里親会会長 城隆男さん

家庭の雰囲気が何より大切
奈良県下には個々の事情により家庭では暮らせず、乳幼児期から施設で生活しなければならない子ども達がたくさんいます。施設では規則正しい生活と集団生活を学ぶことができ、施設の職員の方もよくしてくださっていますが24時間一緒にはいられないし、1対1ではなく複数の子どもに接しています。一方で、里親家庭の子どもたちは家庭的な雰囲気を味わい、父親や母親のような里親が関わって一緒に生活をしています。このことが特定の大人との愛着関係を育み、その子どもが育っていく中で重要な役割を果たしていると思います。里親家庭では一緒に食事をしたり外出をしたり、お風呂に入ったりといった家庭的な生活の経験ができます。施設で暮らしてきた子ども達にとっては貴重な経験であり、その意味で家庭的養護の必要性を感じます。

子どもへの情熱を持ち続けてほしい
長期的な目で里親になりたいという気持ちと深い子どもへの愛情を持ち続けてほしいです。県在住の方は里親登録後、奈良県里親会に入会することができます。会員相互の親睦、子育ての話や相談・交流のための里親研修会、連携を深めるレクリエーション、広報誌の発行、里親情報交換会(おしゃべり広場)等の里親へのサポートをしています。また、県下の2施設には里親支援専門相談員とこども家庭相談センターに里親推進員がいて、里親をサポートしています。多くの方が里親の事を理解して、子どもへの情熱を持ち里親になっていただけたら幸いです。


奈良県里親会

昭和36年に設立。現在正会員94組、賛助会員16組。里親委託の促進、会員同士の親睦、里親制度の推進をめざし活動している。(紀寺町833 電話番号:0742-26-3788) 


里親になるには?その後は?

里親になるための手続き

里親の登録は奈良県がおこなっています。里親制度の説明や子どものことについての座学の研修や、児童養護施設等での実習、こども家庭相談センターの家庭訪問などのあと、県社会福祉審議会で審議され、県に認定されると里親として正式に登録されます。その後、子どもの状況や里親家庭の状況を見て、里親家庭を必要とする子どもの情報が知らされ、養育里親の場合は里親宅に数日宿泊するなどした後、正式に預けられることとなります。

児童相談所で相談

申請書提出
児童相談所の面接家庭訪問・県の実施する研修を受講(年4回)
県の審議会での審議
里親認定里親登録

奈良県中央こども家庭相談センター(電話番号:0742‐26‐3788)

さまざまな支援もあります

経済…子どもを預かった場合、生活費や医療費などは県からの補助があります。
交流…「おしゃべり広場」(里親同士の交流)や里親会主催のバーベキュー大会等があります。当事者同士だからこそ、普段話すことができない悩みを共有することができます。
相談…こども家庭相談センターから定期的に児童福祉司等や児童心理司が家庭を訪問します。生活の様子を伺ったり、困ったことへのアドバイスを行っています。

里子、里親の年齢は?

里子が里親のもとへやってくる年齢…平均 6.3歳
0~3歳 44.7パーセント
4~8歳 25.4パーセント
9~13歳 16.8パーセント
14~18歳以上13.1パーセント

里親登録時の年齢
20歳代 0.9パーセント
30歳代 13.2パーセント
40歳代 42.1パーセント
50歳代 26.1パーセント
60歳代 14.1パーセント
70歳代 3.6パーセント

 

里親の相談は?

奈良市フォスターサポート(里親支援)
市では、子育て相談課で委託を受けている里親もこれから里親になりたいと考えている人も気軽に相談できるように相談窓口に専門職を配置し、里親制度のさまざまな相談に対応しています。また、次のとおり出張相談窓口を設置し、相談に応じます。

【里親になりたい人への支援】
里親に興味を持ってもらうための情報提供、制度についての相談、図書館と協力した関連図書の展示

【里親をしている人への支援】
手続きの補助、必要書類の情報提供、子どもの年齢に応じた情報提供、市内で使えるサービスの情報提供フォスターサポート今後の予定

【時間】
午前10時半~午後3時半
10月14日(金)北福祉センター(右京一丁目)
10月28日(金)都祁行政センター(都祁白石町)
11月11日(金)中央図書館(東寺林町)
11月25日(金)西部図書館(鶴舞西町)

少しでも興味があれば気軽にお電話してください!
問合せ…子育て相談課(電話番号:0742・34・4804)

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