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デング熱について
デング熱の国内感染症例について
令和元年10月16日、東京都よりデング熱の国内感染例の報道がありました。報道によりますと同じ学校に通う生徒2名が9月下旬にデング熱を発症し、感染したとみられる期間(発症の14日前)に修学旅行にて奈良市を訪れていることが判明しました。奈良市内でデングウイルスに感染したことも否定できないと推定されることより注意喚起します。
奈良市のデング熱の発生状況は、平成18年~令和元年10月15日までの期間に、6例(奈良県34例)の届出がありましたが、いずれも海外において感染した事例で、今のところ奈良県内での国内感染事例は見られておりません。
デング熱とは、デングウイルスによっておこる急性熱性感染症で、このウイルスを保有する蚊に刺されることによって感染します。ヒトからヒトへは直接感染しません。
すべての蚊がデングウイルスを保有している訳ではありません。蚊に刺されたからと言って、過分に心配する必要はありません。
デング熱とは
デングウイルスというウイルスが、ネッタイシマカやヒトスジシマカの雌蚊によって媒介される感染症で、主な流行国はネッタイシマカの多い東南アジア、南アジア、中南米、カリブ海諸国ですが、アフリカ、オーストラリア、中国、台湾においても発生が見られます。
国内では、ヒトスジシマカが、デング熱を媒介する可能性があります。
感染から2~14日後(多くは3~7日後)、突然の発熱で始まり、頭痛、筋肉痛、関節痛等を伴い、発疹の出現を経て1週間程度で軽快する「デング熱」と、出血傾向(鼻出血、消化管出血や皮下の点状出血等)やショック症状を伴う重篤な「デング出血熱」の二つの病態があります。
ヒトが感染しても、発症する頻度は10~50%で、発熱、頭痛、筋肉痛や皮膚の発疹等が症状として現れますが、予後は比較的良好な感染症です。
治療方法としては、特別的な治療法はなく、対症療法が主体であり、現在のところ有効な抗ウイルス薬はありません。蚊に刺されて、上記のような症状があれば早めに医療機関の受診をしてください。
日本では、輸入感染例(海外で感染し、日本で発症する事例)を含め、重篤となる「デング出血熱」の病態を示すことはほとんどありません。これは、一般に重篤化するのは、異なる血清型のウイルスに重複感染(あるいは追感染)した場合によることが原因であり、患者の少ない国内(あるいは常発生国における短期滞在)では重複感染する機会が少ないためと考えられています。
デング熱対策のポイント
蚊に刺されないように注意する
蚊に刺されないための対策として、屋外で活動をする時、特に海外の流行地(東南アジア・南アジア・中南米・アフリカ・オーストラリア・南太平洋などの熱帯、亜熱帯地域)に出かける際は、長袖・長ズボンを着用するなど肌の露出を減らすほか、忌避剤(虫除けスプレー、蚊取り線香等)を活用いただくなど虫除け対策を行ってください。
蚊の発生予防対策
屋外に空きビン・缶・ペットボトル・古タイヤ・おもちゃなどを放置せず、水たまりをなくす。
植木鉢の受け皿・水中植物の鉢などはこまめに水を入れ替える。排水溝はごみや落ち葉などが詰まらないように掃除する。
なお、蚊に刺されて発熱などの症状がある場合には、かかりつけの医療機関等を受診してください。
詳しい防御対策はこちら 『蚊の防除について』(保健衛生課)
医療機関の皆様へ
デング熱の国内感染が疑われる事例については、速やかに保健所へ情報提供を行っていただくようご協力をお願いします。
デング熱疑いの患者の診療については、厚生労働省『蚊媒介感染症の診療ガイドライン』をご参照ください。
厚生労働省 『蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第5版)』<外部リンク>
患者様の状況を確認したうえで、公衆衛生上、検査が必要と判断された場合に保健所において行政検査を行います。
必要な検体:血液3cc(EDTA入り採血管)
必要な書類:病原体検査票[Excelファイル/51KB]
感染症法における取り扱い
全数報告対象(4類感染症)であり、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出をおねがいします。
関連リンク
- 厚生労働省:「デング熱について」<外部リンク>
- 厚生労働省検疫所:お役立ち情報「デング熱」<外部リンク>
- 国立感染症研究所:「デング熱とは」<外部リンク>
- 国立感染症研究所:「注目すべき感染症『デング熱の国内感染症例について』」IDWR2014年第34号<外部リンク>