本文
本作は、宝珠と錫杖をとり、左足を踏み下げて坐す地蔵菩薩像です。像内に墨書銘があり、天文17年(1548)に東大寺法住院実清、宿院仏師源三郎・源次らが造立したことがわかります。宿院仏師ははじめ造仏に長じた僧侶である海竜王寺仙算や実清に従い、木寄番匠や助作をつとめていましたが、のちに仏師となり独自に造像を行うに至りました。市内の在銘遺品のうち本像は、実清が制作に関与しながらも源三郎らが「仏師」と称して造像を担っていることから、宿院仏師の立場の変化を示す作例として重要視されるものです。肉付きに張りのある面貌や、明快に整えられた衣文などに宿院仏師の特徴的な表現がみられ、総じてまとまりのよい造形をなしており、本市における室町時代の地蔵菩薩像の秀作としても貴重です。
件名 | 木造地蔵菩薩半跏像 |
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かな | もくぞうじぞうぼさつはんかぞう |
数量 | 1躯 |
指定(分類) | 奈良市指定文化財(彫刻) |
指定日 | 平成11年4月14日 |
所在(有) | 奈良市高御門町21 西光院 |
小学校区 | 椿井 |
形状等 | 像高82.1cm 頭部内に「光阿南阿妙慶/妙性妙金妙慶妙壽/東大寺法住院實清阿闍梨/同清恵/作也假名/良信/天文十七年〈戊/申〉五月十一日/南都宿院佛師/空阿弥子源三郎/源次助四郎六親眷属」「南無地蔵菩薩源三郎作分/六道引導給六親眷属」等の墨書がある。 (/は改行、〈 〉は割書を表す) |
備考 | 室町時代 |